「鉄玉子って体にいいらしい」そんな言葉、聞いたことありませんか?
自然派や無添加志向の方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。鍋ややかんに入れて料理するだけで鉄分が補える便利アイテムとして、昔から愛用している方もいます。
良さそうに感じる反面、「本当に効果があるの?」「毎日使って大丈夫なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
私自身も使ってみた経験がありますが、実感としては「確かにプラス面もあるけれど、デメリットもある」と感じています。
そこで今回は、私の体験や学びをもとに、鉄玉子のメリット・デメリット、そして取り入れる際に気をつけたいポイントをお伝えします。
鉄玉子とは?
鉄玉子は、鉄分補給を目的に作られた「鉄製のおもり」のようなものです。南部鉄器などの伝統工芸品としても知られ、昔ながらの生活知恵から生まれたアイテムです。
調理中に鍋ややかんに入れることで、少しずつ鉄分が溶け出し、料理や飲み物に含まれる仕組みです。
特徴としては:
1.鉄を自然に補える
2.サプリメントのような添加物がない
3.一度買えば長く使える
という点があり、「自然派」「無添加」な暮らしをしている方に特に人気があります。
鉄玉子のメリット
鉄玉子の大きな魅力は、「自然な形で鉄分を補えること」です。サプリメントや薬のように人工的に加工されたものでは昔ながらの方法で鉄を溶け出させるため、安心感があります。
主なメリットとしては:
手軽に鉄分補給できる
鍋ややかんに入れておくだけなので、特別な手間がかかりません。毎日の調理に自然に取り入れられます。
サプリメントに比べて安心感がある
鉄サプリは添加物も含まれ、胃腸に負担がかかることもありますが、鉄玉子は食材と一緒に摂取するため、比較的やさしい方法といえます。
長く使えるエコなアイテム
一度購入すれば繰り返し使えるため、コストパフォーマンスも良く、無添加志向や環境を意識する人に支持されています。
こうした点から、「サプリメントはちょっと抵抗があるけれど、鉄分は補いたい」という方にとって、鉄玉子は取り入れやすい存在です。

鉄玉子ってかわいいのも魅力的だよね~
鉄玉子のデメリット
便利で安心感のある鉄玉子ですが、良い面ばかりではありません。実際に使ってみたり調べてみると、注意したいポイントもあります。
鉄の過剰摂取のリスク
鉄は体に必要なミネラルですが、過剰になると酸化ストレスを増やし、体内で炎症を悪化させる可能性があります。特に「毎日欠かさず使う」習慣にしてしまうと、逆効果になることも。
肌のくすみや真菌、炎症の原因になることも
鉄は「サビやすい金属」でもあります。体内で余ると、酸化を促して肌のくすみや炎症の原因になったり、真菌(カビやカンジダなど悪玉細菌)のエサになることもあります。

お肌にわるいの?!それは嫌だよ~
溶けだす鉄は「使える鉄」とは限らない
鉄玉子から溶け出す鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれるもので、体内での吸収率はそれほど高くありません。効率を考えると、肉やレバーなどの「ヘム鉄」のほうがずっと使われやすい鉄です。(参考 Food Network The Nutrition Source)
体内で鉄はリサイクルされている
実は鉄は「使い捨て」ではありません。赤血球の寿命は約120日で、壊れた赤血球から鉄は取り出され、再利用され、また新しい血に生まれ変わります。(参考 Cleveland Clinic – Erythropoiesis PMC – The Multiple Facets of Iron Recycling)
そのため、「鉄不足=とにかく鉄を摂れば解決」という単純な話ではありません。実際には炎症や腸の不調などで「鉄をうまく利用できない状態」となり、「鉄分だけ過剰」の状態に。そして体内で鉄が炎症物質になり“サビついた体”を招くこともあります。
鉄玉子で鉄を補うことは補助的には役立ちますが、根本的には「体内で鉄がきちんと使える環境」を整えることが大切なのです。
体内における鉄の役割
鉄は「赤血球をつくり、酸素を全身に運ぶ」「細胞の中でエネルギーをつくるための構成成分」という、生命維持に欠かせない役割を担っています。もし鉄が不足すれば、体は酸素を十分に運べなくなり、疲れやすさや頭痛、めまいなど「貧血症状」と呼ばれる状態が起こります。
ただし「鉄さえ摂れば解決」という単純なものではありません。鉄はさまざまな栄養素や仕組みと連動して働くため、全体のバランスを理解することが大切です。
赤血球と酸素の運搬
鉄はヘモグロビンの材料となり、酸素を結合して全身に届けます。
鉄が働くには他の栄養素が必要
鉄は単独ではうまく働けません。他の栄養素との組み合わせが不可欠です。
ビタミンC:非ヘム鉄(鉄玉子や野菜からの鉄)の吸収を助ける
銅・亜鉛:赤血球を作る酵素の働きに必要
糖質(グルコース):赤血球の唯一のエネルギー源
つまり「鉄をとる」だけでは足りず、「どうやって体内で使える形にできるか」が健康維持のカギになります。
根本的な視点が大切
私も以前は「貧血=鉄が足りないからだ」と思っていて、とにかく鉄を補えばいいと考えていました。
でも実際には、貧血症状は“鉄不足そのもの”というより“酸素が足りない状態” なんです。
赤血球がしっかり働いて酸素を運ぶためには、鉄だけじゃなくて、糖質(ごはんや果物などからとれるブドウ糖)やビタミンB群、葉酸、タンパク質も必要です。
つまり、鉄玉子を使って鉄を補給しても、赤血球の「材料」や「燃料」が不足していたら元気に働けないんです。
私自身、「鉄をとっているのになかなか調子がよくならない」と感じた時期がありましたが、それは鉄だけに注目していて、体の仕組み全体を見直せていなかったからだと思います。
だからこそ、「どうして鉄をうまく使えないのか?」という根本原因に目を向けることが大事だと学びました。
鉄不足の根本原因を考える
貧血症状や、鉄が足りないと感じたとき、多くの人は「鉄をとらなきゃ」と考えがちです。けれど本当に大事なのは、「なぜ鉄が不足しているのか」という背景を知ることです。
鉄不足にはいくつかの原因があります。
1.炎症や腸内環境の乱れ
胃や腸の調子が悪いと、せっかく鉄をとっても吸収しにくくなります。特に、胃酸の分泌が少ないと食べ物から鉄をうまく溶かし出せず、体に取り込む力が弱まってしまいます。
また、体の中で炎症が起きているときは、鉄を吸収すると炎症が悪化するおそれがあるため、体が「鉄をあえて取り込まないようにする」こともあります。
2.月経や出血による鉄の損失
特に女性は、月経によって定期的に鉄が体の外に出ていくため、どうしても不足しやすい傾向があります。出血量が多い人ほど、体内の鉄ストック(貯蔵鉄)が減りやすく、貧血症状を感じやすくなります。
また、胃や腸の不調・痔・子宮筋腫などによる少量の出血が長く続く場合も、気づかないうちに鉄が失われていくことがあります。
「食事でちゃんととっているのに貧血が良くならない」という人は、出血によるロスがないか見直してみるのも大切です。
3.偏った食生活
肉や魚などのたんぱく質をあまり食べないと、鉄だけでなく、鉄を運ぶ・使うために必要な栄養素(アミノ酸、ビタミンB群など)も不足しやすくなります。
特に自然派の食生活を意識している方は、野菜や植物性食品の割合が多く、動物性食品の摂取が少なくなりがちです。
私自身も「デトックスに良い」と聞いて野菜をたっぷり食べていた時期がありましたが、その頃は立ちくらみや疲れやすさ、イライラ感に悩むことが多く、今思えば典型的な“たんぱく質と鉄の不足状態”だったと思います。
4.過度なダイエットや低栄養
糖質やタンパク質が足りないと、赤血球を作る材料が不足し、鉄を使いこなせません。
特に糖質制限やファスティングを長く続けている人は、赤血球の材料が不足しやすく、エネルギー不足によって貧血症状が出やすくなります。
5.妊娠・出産・授乳期の需要増大
妊娠中は、お母さん自身の体だけでなく、お腹の中の赤ちゃんにも酸素を届ける必要があるため、鉄の必要量がぐんと増えます。
赤血球を作るために鉄が大量に使われるうえ、妊娠後期には血液量も1.5倍ほどに増えるため、どうしても不足しやすくなります。
さらに、出産時には出血による鉄の損失があり、産後もしばらくは貧血気味になる方が多いです。授乳中も母乳を通じて鉄が使われるため、体は慢性的に“鉄を取られる側”の状態に。
6.成長期の子ども
体が大きくなるにつれて血液量も増えるため、鉄需要が急増します。
7.睡眠不足やストレス
睡眠不足や強いストレスが続くと、体はエネルギーをたくさん使います。そのとき、エネルギーを生み出すために鉄やビタミン・ミネラルがいつもより多く消費されるのです。
また、ストレスがかかると交感神経が優位になり、血流が悪くなることも。酸素がうまく体のすみずみに行き届かなくなり、疲れやすさやだるさ、めまいといった“貧血に似た症状”が出やすくなります。
体を整えて鉄を活かす
鉄は「摂る」だけでなく「使える状態にする」ことが大切です。そのためには体の土台を整える必要があります。ここでは、鉄を「増やす」よりも「活かす」ためにできる、日常の整え方をご紹介します。
胃腸を整える(吸収の入り口を元気に)
鉄の吸収は、すべて“胃と腸”から始まります。胃酸が少ない・腸内環境が乱れていると、どんなに鉄を摂っても吸収がうまくいかなくなります。
私は以前、発酵食品をたくさん摂れば腸が元気になると思い、納豆や甘酒を毎日取り入れていました。けれど、体調が整うどころかお腹が張ったり、疲れやすくなることも。
やりすぎて胃と腸がオーバーワークになっていたのです。胃腸を整えるコツは“足し算”より“引き算”。
・自分に合っていない食材を見極め、控えてみる
・よく噛む
・ストレスを溜めない
まずはこの3つを意識するだけでも、吸収力はぐっと変わります。
炎症を減らす(吸収をブロックしない)
体のどこかに炎症があると、体は鉄の吸収をあえて止めようとします。なぜなら、鉄は炎症を悪化させる性質を持っているからです。
炎症をやわらげるためには、
・種子油や揚げ物を控える
・加工食品や添加物を減らす
・食品だけでなく日用品も見直す
といった工夫が役立ちます。
「鉄が足りないから」と急に補うよりも、まずは炎症を落ち着かせることが、吸収をよくする第一歩です。
タンパク質をしっかりとる
赤血球を作るには、鉄だけでなくタンパク質も欠かせません。特に自然派の方は、野菜中心の食事で動物性タンパク質が不足しやすくなります。
・肉、魚、卵をバランスよく
・レバーや赤身肉など、ヘム鉄を含む食材を週に数回
自分の消化力に合わせてタンパク質量を調節することがポイントです。今食べている量が少ないと感じる方は、少しずつ(10g程度ずつ)増やしていくと、うまくいきやすいです。
糖質を適度に摂る
赤血球が酸素を運ぶためのエネルギー源は糖質です。糖質が不足すると、鉄があっても赤血球がうまく働けません。
睡眠とリラックスで回復を促す
体の修復や造血(血を作ること)は、夜の休息時間に進みます。睡眠不足やストレスが続くと、鉄の消費が増えるだけでなく、血流も悪くなってしまいます。
・寝る前のスマホを控える
・お風呂で体を温める
・一人のリラックスタイムを持つ
“休むことも栄養”という気持ちで、ゆっくり回復できる時間を意識しましょう。

鉄分を補給するために、「鉄」だけじゃダメなんだね。暮らし全体を整えよう
効率的な鉄源と自然な取り入れ方
鉄は「摂ればOK」ではなく、体に吸収されて使われてこそ意味がある栄養素です。ここでは、効率的に体に届く鉄の種類と、自然な形で取り入れるポイントを整理します。
ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
鉄には大きく分けて「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。
ヘム鉄:肉・魚・レバーなどに含まれ、体内での吸収率が高い(約20〜30%)
非ヘム鉄:野菜・豆・鉄鍋・鉄玉子などに含まれ、吸収率は低め(約2〜5%)
つまり、鉄玉子や鉄鍋から溶け出す鉄は「非ヘム鉄」であり、効率的とはいえません。一方で、動物性食品に含まれるヘム鉄は吸収されやすく、実際に血液やエネルギーづくりに使われやすい形です(米国国立衛生研究所(NIH))。
自然な食材からとるのがいちばん
鉄玉子のような道具もサポートになりますが、基本は食材から自然に摂ること。特におすすめな食材についてまとめてみました。
| 食材 | 特徴 | 取り入れるポイント |
| レバー | 吸収率の高いヘム鉄を豊富に含む | ビタミンCの多い食材と一緒に食べると吸収率がさらに上がる |
| 赤身肉(牛・ラム・豚) | 鉄とタンパク質を同時に補給 | 炭水化物などと一緒に摂ると、エネルギー効率UP |
| 卵黄 | 鉄と亜鉛をバランス良く含む | 朝食にとりいれたり、おやつにゆで卵にしたり、使いやすい。 |
| いわし・かつお・まぐろ | 動物性ヘム鉄に加え、ビタミンDも豊富。オメガ3系の油を含む | 酸化しにくい調理法で(煮る・焼く) |
鉄だけでなく「鉄を活かす栄養」も大切
鉄を吸収し、血液にのせて運ぶためには、タンパク質・ビタミンB群・ビタミンC・銅などの協力が欠かせません。
特に意識したいのは:
タンパク質:赤血球の材料になる
ビタミンB6・B12:造血に必要
ビタミンC:非ヘム鉄の吸収を助ける
銅:鉄をヘモグロビンに組み込む働き
つまり、「鉄だけを増やす」のではなく、全体の栄養バランスを整えることがいちばんの近道です。
鉄玉子は「毎日」より「賢く」使う
鉄玉子は、昔ながらの知恵から生まれたアイテムで、手軽に鉄分を補える安心感があります。特に「サプリメントに頼りたくない」「自然な方法で補いたい」という人にとっては、取り入れやすい選択肢のひとつです。
一方で、
鉄の過剰摂取リスク
シミや真菌、炎症のリスク
非ヘム鉄ゆえの吸収率の低さ
といったデメリットや限界も存在します。
大切なのは「鉄玉子を毎日使えば健康になる」という単純な考えではなく、必要なときに補助的に活用するというスタンスです。
鉄玉子は「サポートアイテム」として上手に使う
鉄玉子は、昔ながらの知恵として優れた道具です。しかし、毎日欠かさず使うよりも、本当に必要なときに補助として使うのが理想です。
たとえば、妊娠中・産後・月経が重い時期など、鉄が極端に減っていると感じるときに役立ちます。
普段から体の状態を観察し、使うタイミングを見極めることが、自然派の暮らしに合った「賢い取り入れ方」です。
サプリやグッズより、まずは生活習慣を見直す
鉄サプリや鉄玉子など鉄調理器具に頼る前に、まず「吸収できる体の土台」を整えることが大切です。
・腸を元気に
・タンパク質と糖質をしっかり
・しっかり休む
これらの基本ができていれば、体は自然と必要な栄養を取り込み、活かしてくれます。
「貧血=鉄不足」とは限らない
貧血のような症状が出ているとき、必ずしも「鉄が足りない」とは限りません。体が炎症を起こしていたり、酸素をうまく運べていなかったりする場合もあります。
つまり、貧血症状=鉄不足症状ではなく“酸素不足のサイン”。
焦って鉄を増やすよりも、「なぜ酸素が足りていないのか?」という視点を持つことが、根本的な改善につながります。
自分の体と対話しながら、やさしく整える
鉄は、私たちの体を支える大切なミネラルです。けれど、「多ければいい」「毎日摂れば安心」というものではありません。
・疲れやすい
・立ちくらみがする
・肌がくすむ
そんなサインを感じたら、まずは自分の体にやさしく耳を傾けてみましょう。
鉄を摂ることも、休むことも、バランスを整えることも、すべて“自分を大切にする行為”。
正しい知識を持って、自分の体の声を聞きながら“ちょうどいい鉄のつきあい方”を見つけていきましょう。