安全を前提に毎日使用しているフライパンですが、実は素材や使い方によって、思わぬ危険があることをご存知でしょうか。
今回は、素材により起こりうる危険や、安全なフライパンについて解説します。
フッ素コートがそろそろ剥がれてきて買い替えたいと思っている方も、ぜひ参考にしてくださいね。
危険なフライパン
安全性が懸念されるフライパンについて解説します。
- フッ素樹脂加工のフライパン
- アルミニウム製のフライパン
- 銅製のフライパン
順番に、どんな危険性があるのか見ていきましょう。
フッ素樹脂加工のフライパン
「フッ素樹脂加工のフライパン」は、食材がくっつかず、お手入れも簡単なのですが、使用に関して注意が必要です。
フッ素樹脂加工のフライパンには、以下のようなデメリットがあります。
- 使用しているうちに劣化し、はがれやすくなる
- 樹脂加工の劣化により、買い替えの必要がある
- 260度を超えると劣化が始まり、約350度以上で有毒ガスを発生
- 強火に弱い
- PTFE安定化のために使用されている補助剤・PFOA(ピーフォア)※やPFAS(ピーファス)※※への懸念
国内では、2021年10月以降に製造・輸入されたものについてはPFOAフリーですが、それ以前の製品については、注意が必要です。
古いフッ素樹脂加工フライパンは、新しいものに買い替えるようにしましょう。なるべく安全なフライパンに買い替えるようにするとよいですね。
フッ素樹脂加工のフライパンを使用する際の注意点
フッ素樹脂加工フライパンを使うときは、以下のことに注意しましょう。
- 空焚き禁止(5分で350℃に達することも)
- 予熱や水分を飛ばすための加熱は、なるべくしないようにする
- 金属ヘラを使用しない
- クレンザーや金属タワシを使用しない
- 急冷を避ける
空焚き5分で有毒ガスが発生する350℃に達することもあり、過去にはペットの鳥が死んでしまった事故も発生しています。調理中は、コンロの前を離れないようにしましょう。
アルミニウム製のフライパン
軽くて丈夫なアルミニウム製フライパンですが、アルミニウムの体内への蓄積により様々な弊害が指摘されています。
- 体内に蓄積されることにより、神経性疾患を引き起こす可能性(腎臓に疾患のある人は特に注意)
- アルツハイマーの原因になるという説もあるが、証明されていない
アルミニウムは腎臓を通じて体外に排出されますが、気になる人はアルミニウム製のフライパンを使わない方がよいでしょう。
銅製のフライパン
「銅製のフライパン」は熱伝導率がよく、強火にしなくても食材をムラなく加熱できるメリットがありますが、使用には注意が必要です。
- トマト・柑橘類・酢など酸性の食材を調理すると、銅が溶け出す危険性
- 急性銅中毒(吐き気、嘔吐、下痢、低血圧など)の恐れがある
銅製のフライパンはプロが愛用するほど優れている調理道具ですが、家庭内ではうっかり酸性のものを調理してしまうことが考えられます。
使わないようにするか、正しい知識をもって使用するようにしましょう。
安全性の高いフライパン
ここからは、安全性が高いとされているフライパンの素材をご紹介します。
- ステンレス製
- 鉄製
- セラミック加工
順番に解説します。
ステンレス製フライパン
ステンレスのフライパンは、加熱しても有害物質は発生しないので安全です。
【メリット】
- サビや高温に強い
- おしゃれなデザイン
- 丈夫
- 保温性が高い(余熱調理ができる)
- 表面加工されていないので、剥がれることがない
【デメリット】
- 熱伝導率がよくない
- 温まるのに時間がかかる
- 食材がくっつきやすく、焦げ付きやすい
- 重い
ステンレスフライパンの使い方のポイント
ステンレスフライパンは、説明書とおりに正しい使い方をすれば、焦げ付かずに調理ができます。調理は以下の点に注意するようにしましょう。
- 中火で2~4分、予熱をしっかりすること
(水滴を落とすと、コロコロ転がるようになる。「ジュー」という音がしているうちは温めがたりない) - 油でコーティングして、油が温まってから食材を入れる
鉄製のフライパン
鉄は人体に吸収されても安全なので、鉄製のフライパンは安全です。
【メリット】
- 高温調理が可能で、おいしく仕上がる
- 丈夫で長持ちする
- キズがつきにくく、タワシで力を入れて洗える
- 人体に無害(鉄分補給にも有効)
- コーティングしてないので安全
【デメリット】
- 重い
- さびやすい
- お手入れが必要
鉄製フライパンの使い方のポイント
鉄製フライパンを使用する際のポイントは、以下のとおりです。
- 使い終わったらすぐに洗い、完全に乾燥させる(油膜がおちるので、洗剤は使わない)
- 煮る・蒸す・茹でる料理には向かない
- 始めて使うときは「焼き入れ」「油ならし」が必要
- 調理前に「油返し」を行う
鉄のフライパンは、使っていくうちに油がなじみ、どんどん使いやすくなっていきます。「フライパンが育っていくのが楽しい」という人も多いです。
セラミック加工のフライパン
セラミック加工のフライパンも、テフロンに比べ安全性が高いです。
【メリット】
- 加熱しても有毒ガスが発生しない
- テフロンより耐久性がある
【デメリットや注意点】
- 油を引いて使用する(最初に使用する際には、油通しをする)
- 急激な温度変化に弱い
- キズがつくと剥がれる可能性がある
セラミック加工のフライパンは、有毒ガスが発生せず安全ですが、キズがついて剥がれる可能性があります。
おすすめの安全なフライパン6選
ここからは、安全な素材とされる3種類の素材別におすすめのフライパンをご紹介します。
- セラミック加工
- 鉄製
- ステンレス製
ジオ・プロダクト(ステンレス製)
「ジオ・プロダクト」は、宮崎製作所が手掛ける調理器具シリーズです。
- 服部幸應氏を招き開発されたクッキングウェア
- 全面7層構造で、ムラなく短時間で調理
- ウォーターシール(水蒸気の膜)で、本体とフタが密着するよう設計され、無水調理が可能
21㎝・25㎝
ビタクラフト オレゴン(ステンレス製)
「ビタクラフト」は、アメリカで生まれた調理器具ブランドです。
- アメリカカンザスシティにて設立
- 全面5層構造にすることで、「熱しやすく冷めにくいを実現」
- 熟練職人により仕上げたこだわり製法
25.5㎝
ビタクラフト スーパー鉄フライパン(鉄フライパン)
「スーパー鉄フライパン」は、窒化加工でさびにくく、お手入れが簡単な鉄製フライパンです。
- ビタクラフト独自の「窒化4層加工」
- 鉄の弱点「錆びやすさ」を克服
- 表面の凸凹で油の吸収性を高め、おいしく仕上がる
- 「焼き入れ」「油ひき」不要でお手入れ簡単
- 成型から最終検品まで国内で実施
20㎝・24㎝・26㎝・28㎝
炒める・焼く・煮る・蒸すもできるウォックパンもあります。
FD STYLE(鉄フライパン)
「FD STYLE」は、新潟出身のデザイナー・萩野光宣氏が、新潟のメーカーともに技術や美意識を発信するプロダクトブランドです。フライパンは以下のような特徴があります。
- 機能性、デザイン性を併せ持つ
- 窒化加工でくっつきにくい
- 軽量
- 使い始めの空焼き不要
- お手入れ簡単
20㎝・24㎝・26㎝
セラミック加工でおすすめフライパンを、2種類ご紹介します。
グリーンパン(セラミック加工)←1番オススメ!
「グリーンパン」はセラミック加工では代表的なベルギーのブランドです。
- 2007年、セラミック・ノンスティックコーティング(「Thermolon™・サーモロン」)を開発
- フッ素樹脂(PTFE)を使用せず、PFOA・その他のPFAS、鉛・カドミウムなど有害な化学物質不使用
20㎝・21㎝・24㎝・26㎝・28㎝
グリーンパンシリーズどれを選べばいいかわからない方はコチラをタップ(シリーズを比較表にしてます)
僕の体感では、フッ素樹脂加工のフライパン以上に食材がこびりつかない印象です。
セラブリッドフライパン(セラミック加工)
「セラブリッドフライパン」は、京セラが展開するシリーズです。
- 人体や環境に影響を及ぼす化学物質(PTFE/PFOA)不使用
- 熱伝導がよく、遠赤外線効果でプロのような仕上がり
- メラミンスポンジでお手入れ可能
20㎝・21㎝・26㎝・28㎝(深めや卵焼き用あり)
まとめ
素材によるフライパンの危険性や、安全なフライパンについて解説しました。
安全でおすすめなのは、ステンレス製と鉄製です。
調理やお手入れがフッ素樹脂加工に比べて面倒だと感じる方が多いかもしれませんが、使用方法をマスターすれば、お料理をおいしく仕上げることができます。
加工が劣化して買い替える必要がないため、大切にすれば一生モノです。
窒化鉄を使用した、お手入れが比較的簡単なフライパンも販売されています。鉄のフライパンは育てる楽しみもありますので、ぜひ購入を検討してみてくださいね。
究極的に安全なフライパンとして、有害物質を含まない日本製のフライパンメーカーの特集も記事にしているので読んでみてください。