「水あめ」は、昔から身近な甘味料として親しまれてきましたね。しかし、最近の「水あめ」は、昔ながらの自然なものではなく、工業的に大量生産される過程で、白砂糖と同様に注意が必要な食品に変わってきていることをご存じでしょうか。
水あめとは?
「水あめ」は、デンプンを原料にして作られます。デンプンを酸や酵素を使って細かく分解することで、ブドウ糖、麦芽糖、デキストリンといった様々な種類の糖が混ざり合った、粘り気のある甘い液体になります。
これらの糖は、私たちの体の中でブドウ糖に分解されてエネルギー源となります。ブドウ糖は、糖質の最も基本的な単位で、果物や蜂蜜にも含まれています。麦芽糖は、ブドウ糖が2つ結びついたもので、麦芽から作られることからこの名前がついています。デキストリンは、デンプンが不完全な状態で分解されたもので、比較的大きな分子を持っています。
水あめと似たもの「還元水あめ」「麦芽還元水あめ」
「水あめ」と似た名前の食品に、「還元水あめ」や「麦芽還元水あめ」があります。これらの食品は、「水あめ」に特別な処理を加えたもので、性質が大きく異なります。
「還元水あめ」は、「水あめ」に水素をくっつけることで、消化されにくいように加工された甘味料です。カロリーが低く、歯に付きにくいという特徴がありますが、大量に摂取するとお腹がゆるくなることがあります。
「麦芽還元水あめ」は、「還元水あめ」の一種で、麦芽から作られた糖が多く含まれています。
人工的に大量生産される前の「本物の水あめ」は、漢方では「膠飴(こうい)」と呼ばれ、胃腸を元気にする滋養強壮の薬として珍重されてきました。
一方、米水あめや麦芽水あめは、自然な方法で作られるため、余計なものがほとんど含まれておらず、安心して食べられます。これらの水あめには、タンパク質やミネラル、ビタミンなど、体に必要な栄養がたくさん含まれています。まるで栄養満点のスープのように、私たちの体を総合的にサポートしてくれるのです。
中国では、膠飴は胃腸の調子を整え、痛みや咳を鎮める薬として使われてきました。体力が弱っている人や、食欲がない人、頭痛がする人などに良いとされています。
また、自然食の考え方であるマクロビオティックでも、水あめはおすすめの甘味料です。白砂糖とは違い、体にも優しく、様々な栄養が摂れるのが魅力です。
ただし、水あめは白米や小麦粉に比べて、体が糖を吸収するスピードが速いため、食べ過ぎには注意しましょう。
スポンサーリンク水飴の作られ方
「水飴」には、大きく分けて2種類の作り方があります。
昔ながらの作り方で作られた水飴は、米を原料にして、麦芽の力を使ってじっくりと甘味を引き出しています。この方法で作られた水飴は、米の旨みや風味、そして麦芽の持つ酵素が作り出す独特の香りが特徴です。原材料表示では、「米水あめ」や「麦芽水あめ」と表示されています。
工業的な方法で作られた水飴は、とうもろこしから作ったでんぷんを、酸や酵素を使って効率的に糖に変えています。この方法で作られた水飴は、大量に生産することができ、比較的安価です。原材料表示では、単に「水飴」と表示されていることが多いです。
昔ながらの作り方で作られた水飴と工業的な方法で作られた水飴の違いをまとめると、以下のようになります。
区分 | 昔ながらの作り方で作られた水飴 | 工業的な方法で作られた水飴 |
---|---|---|
原料 | 米、麦芽 | とうもろこしのでんぷん |
製法 | 麦芽の酵素を使ってじっくりと糖化 | 酸や酵素を使って効率的に糖化 |
特徴 | 米の旨みや風味、麦芽の香りが豊か | 大量生産が可能、比較的安価 |
表示 | 米水あめ、麦芽水あめ | 水飴 |
工業生産された現代版水飴がなぜ体に悪いか?
工業的に生産される水あめは、トウモロコシから酸や乳酸発酵を用いてデンプンを抽出し、高度な精製工程を経て作られます。
この過程で、デンプン以外の成分、すなわちビタミン、ミネラル、タンパク質などがほぼ完全に除去されます。この極度の精製は、白砂糖や精製小麦粉の製造過程と同様であり、結果として得られる水あめは、単なる糖分としての役割しか果たせません。
栄養バランスの観点から見ると、このような精製された食品の過剰摂取は、健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
「水飴」は、原料となるデンプンを酸や酵素を使って糖に分解する工程で作られます。
昔ながらの製法では、自然な温度でじっくりと酵素の働きによって糖化が進められていましたが、現代の大量生産では、より効率的な高温高圧の条件下で、酸や酵素を併用して迅速に糖化を進めています。さらに、ろ過や遠心分離といった高度な精製工程を経て、純度の高い水飴が作られています。
このような製造工程を経た水飴は、私たちの食生活に広く利用されていますが、一方で、「高温高圧での処理や過度な精製によって、水飴の品質や安全性に問題が生じるのではないか」という疑問も浮かびます。
糖質は、私たちの体にとって重要なエネルギー源ですが、過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、高度に精製された食品は、自然な食品に比べて栄養価が低く、体への負担が大きいという指摘もあります。
スポンサーリンク現代版の水あめは遺伝子組み換えトウモロコシを使っている
「水あめ」は、私たちが普段口にするお菓子や飲み物に広く使われている甘味料です。この水あめ、実は白砂糖と似たような危険性をはらんでいるだけでなく、さらに別の問題も抱えている可能性があるんです。
水あめの危険性その1:白砂糖と同じ 水あめは、白砂糖と同様に、摂り過ぎると太りやすくなったり、虫歯の原因になったりする可能性があります。
水あめの危険性その2:原料のトウモロコシ 水あめの原料となるデンプンは、多くの場合、トウモロコシから作られます。そして、このトウモロコシが遺伝子組み換えされている可能性が高いのです。
遺伝子組み換えとは、植物の遺伝子を人工的に組み替えることで、害虫に強くなったり、成長が早くなったりといった性質を持たせる技術のことです。
食品メーカーでは、遺伝子組み換え食品は有害成分が残らないため、表示義務がなく、安全だと主張しています。確かに、これまでの実験や研究では、遺伝子組み換え食品が直接人体に害を与えるという明確な証拠は見つかっていません。
しかし、遺伝子組み換え食品の長期的な影響や、遺伝子組み換えによって作物の栄養価が変化する可能性など、まだ解明されていない部分も多くあります。また、コーンスターチ自体の品質についても、遺伝子組み換えの影響を受けているのではないかという疑問も残ります。
還元水あめは水飴以上に体に悪い?
「還元水あめ」は、私たちがよく知る「水あめ」とは全く異なるものです。これは、糖に化学処理を加えて作られた人工的な甘味料で、厳密には「糖アルコール」と呼ばれるグループに属します。
還元麦芽糖(マルチトール)もこの糖アルコールの一種ですが、自然界には存在しない人工的な物質です。この製造過程では、「水素添加」という方法が使われます。この方法は、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸を作る際にも用いられるため、安全性に対する懸念が生まれます。
糖アルコールは、消化されにくいためカロリーを抑えられるとして注目されています。そのため、多くの食品に使われています。しかし、人工的な物質であり、長期的な安全性についてはまだ十分な研究がなされていません。
実際に、糖アルコールは下痢を引き起こす可能性があり、アレルギー反応を起こすという報告もあります。
このように、還元水あめをはじめとする糖アルコールは、その安全性について様々な議論がある物質です。食品を選ぶ際には、これらの情報を参考に、ご自身の判断で選ぶことが大切です。
まとめ:工業生産された水飴や還元水飴の過剰摂取を避けるために僕たちはどうすればいいか?
工業生産された水飴や還元水あめの過剰摂取を避けることは、健康維持のために重要です。でも、これらの甘味料は、加工食品に広く使用されており、僕らの食生活に深く根付いています。
どういう心がけを持てばいいのか考察してみます。
食品表示の確認
製品を選ぶ際には、必ず原材料名を確認しましょう。水飴や還元水あめが、どの順番で記載されているかによって、その含有量をある程度推測することができます。
製品に含まれる糖質量も重要な情報です。糖質量が多い製品は、水飴や還元水あめが多く含まれている可能性が高いです。
加工食品の選び方
水飴や還元水あめの代わりに、自然な甘味料(果糖、蜂蜜など)を使用している製品を選びましょう。
添加物が少ない、または無添加の食品を選ぶことも一つの方法です。
食習慣の見直し
主食、主菜、副菜をバランスよく摂ることで、特定の食品に偏るのを防ぎます。当たり前のことですがこれが一番大事なことだと思います。
間食には、果物やナッツなど、自然な甘味のある食品を選びましょう。