塩は私達の食に関しては欠かせないもの。出来れば、上質な塩を上手に摂取し、健康維持をしたいものです。
逆にいえば、質の悪い塩を摂取してしまうと、高血圧など引き起こす原因となってしまいます。
そこで、今日は比較的、知名度の高い赤穂の天塩と伯方の塩について、どんな塩?体に悪いの?など考察していきたいと思います。
赤穂の天塩と伯方の塩ってどんな塩?体に悪い塩なの?
赤穂の天塩、伯方の塩は共に馴染みのある塩で、テレビCMやスーパーでもよく見かけるお馴染みの塩です。
赤穂の天塩は、江戸時代から続く伝統製法で作り続けられている赤穂から誕生した塩です。
塩田が廃止された今では、オーストラリアの美しい海水を自然の力で塩田濃縮した、天日塩(てんびえん)とにがりを原料にしています。
伯方の塩は、伯方島の塩田を残してほしいという消費者運動から1973に厳しい制約の元、誕生しました
オーストラリア、メキシコ産の天日塩ににがりを添加し、瀬戸内海の海水に溶かして再度釜炊きするといった製法で作られています。
ここだけ聞くと、特に問題のないように思いますが、何故赤穂の天塩と伯方の塩が体に悪いと思われているのでしょうか?
実はこの赤穂の天塩と伯方の塩、自然塩(天然塩)ではないんです。
自然塩とはミネラルを豊富に含んだ栄養価の高い塩で、海水塩、岩塩、湖塩などがあります。
海外では岩塩、湖塩が主流ですが、日本では海水塩が主流。
ミネラル豊富な自然塩では、塩分をとっても喉の渇きが少なく、高血圧にもなりにくいといわれています。
やはり、天然塩ではないという理由で、体に良くないと考える人も多いようです。
また、原料となる天日塩が海外産であることも気になるという意見もあるようです。
赤穂の天塩と伯方の塩の種類
ここまで、赤穂の天塩と伯方の塩が自然塩ではないとお伝えしてきました。
「赤穂の天塩と伯方の塩は自然塩ではない」
ではどういった種類の塩になるの?と疑問に思った方もいると思います。
赤穂の塩と伯方の塩は、再生加工塩という部類の塩になります。
再生加工塩とは、主にオーストラリアやメキシコから輸入された、天日塩を溶解し、にがりを添加した塩のことです。
自然塩と大きく違うところは、自然ではなく、人間が作ったことから、再生という文字が当てられています。
自然塩ほどではないようですが、人工的ににがりを加えることで、ミネラルも含まれています。
なぜ再生加工塩は作られたのか?
再生加工塩が出来た背景としては、日本古来の塩田を廃止するに当たり、代わりに市場を出回ったのが精製塩。
精製塩はイオン交換樹脂膜透析交換法(イオン交換膜法)で化学的に生産された塩。
精製塩は、99.5パーセント塩化ナトリウムです。塩化ナトリウム(NaCl)、イコール塩と理科の授業で習いましたよね。
安価で大量生産が可能な一方で、摂取し過ぎると、高血圧を引き起こしたりします。
精製塩は胃の負担も大きく、炎症を起こしてしまう危険性もあります。
また、精製塩にはミネラル成分はほぼ除去されているため、栄養価もありません。
ただし、健康には良くないものの味はしっかりしており、使い勝手の良さ、安価で大量生産出来るといった利点があります。
その利点からなのか、高度成長期の真っ只中の日本で政府は支持し、普及します。
それに対して、従来の塩作りを守りたい、上質な塩作りたいという思いで、誕生したのが、赤穂の天塩や伯方の塩といった、再生加工塩です。
実は日本では塩の完全自由化となったのは、2002年です。
それまで、様々な規制の中で塩作りが行われていました。
その規制の中で、創意工夫をして作られた赤穂の天塩や伯方の塩といった、再生加工塩です。
精製塩よりも良い品質の塩といった観点で、再生加工塩である、赤穂の天塩や伯方の塩は良い塩と認識されたのだと思います。
赤穂の天塩と伯方の塩は何が違う?
これまで、赤穂の天塩と伯方の塩が出来た背景や、塩の種類について、考察してきました。
赤穂の天塩も伯方の塩も人工的に作られた、再生加工塩というもの。
赤穂の天塩と伯方の塩、両者について、どのような違いがあるのか、ここでは考察していきたいと思います。
赤穂の甘塩は、元々は兵庫県赤穂市付近の塩田で作られた良質の塩、伯方の塩は愛媛県伯方島の塩田で作られた良質の塩でしたが、どちらも1971年塩業近代化臨時処置法で、塩田が廃止されているため、どちらも今では海外産の天日塩を使用しています。
- 赤穂の天塩は、オーストラリアのシャークベイの天日塩を使用
- 伯方の塩は、メキシコのゲレロネグロ塩田とオーストラリアのプライス塩田の天日塩を使用
100g当たりの成分表示
•赤穂の天塩は、食塩相当量92.5g、マグネシウム550mg、カルシウム5~70g、カリウム5~80g
・伯方の塩は、塩分相当量95.2g、マグネシウム100~200mg、カルシウム50~200mg、カリウム50mg、ナトリウム37.5g
成分的には、やや赤穂の天塩の方がマグネシウムが多く含まれています。
・1キロ当たりの値段
赤穂の甘塩 410円(税抜) 伯方の塩 453円(税込)
どちらも公式のサイトの価格になりますが、お値段はどちらも同じくらいです。
・製造過程
赤穂の天塩は、洗浄・粉砕・ 溶解・ 立釜
伯方の塩は、溶解・立釜
どちらもにがりを利用していますが、下記の違いがあります。
・赤穂の天塩は、オーストラリア産の塩田濃縮した、天日塩とにがりを使用
・伯方の塩は、原料となる天日塩ににがり成分はないため、天日塩を瀬戸内海の海水に溶かし、ろ過した濃い食塩水にすることでにがりが含まれるようにしています。
赤穂の天塩、伯方の塩を舐めてみましたが、味の違いはあまり感じませんでした。
赤穂の天塩と伯方の塩をもっと詳しく知るには?
赤穂の天塩、伯方の塩共に工場があり、見学が出来ます。
赤穂の天塩(赤瀬化成 深層水事業所)
高知県室戸市室戸岬町1828-5
連絡先:0887-24-2820
平日9時から17時の間で電話予約可能です。
製造過程はもちろん、ミネラル量の違いを試飲で確認が出来ます。
伯方の塩(大三島工場)
愛媛県今治市大三島町台(うてな)32番地
0897-82-0660(9時から16時)
10名以下は、予約は不要です。
水曜日定休日となっていますが、時期によって水曜日がやっている場合があり、また、お盆やお正月はお休みなので、ネットか電話で確認した方が無難です。
ここでは、塩作り体験(要予約)やソフトクリームが楽しめます。
一度、見学をして、見聞を広めるのもいいと思います。
まとめ
これまで、赤穂の天塩、伯方の塩に焦点を当てて考察してきました。
赤穂の天塩、伯方の塩は共に自然塩ではありません。人工的に再生された再生加工塩です。
ただし、歴史的な背景を見ると、赤穂の天塩、伯方の塩共に、塩田の伝統を守りたい、上質な塩作りをしたい、という人々の熱意が生み出した、塩であるということがわかりました。
大量生産出来、安価の精製塩が出回り、規制された中、創意工夫された塩です。
2002年の塩の自由化に伴い、自然塩が普及されると共に、赤穂の塩、伯方の塩のような再生加工塩に対して悪い印象を持たれるようになったのではないかと思います。
オーガニック、自然派にこだわりのある人には、人工的に精製された、再生加工塩は受け入れ難いものがあるかもしれません。
けれど、赤穂の天塩、伯方の塩を代表するように、再生加工塩には、安定した供給と価格で提供出来る利点もあります。
精製塩よりも品質はよく、自然塩よりも価格は安い、品質でも価格でも中間地にある再生加工塩。
今回の考察を踏まえて、私が個人的に見出した結論ですが、赤穂の塩、伯方の塩も悪い塩ではないと思いました。
塩分の取りすぎ、塩選びには注意したいですが、この二つの塩もこれまで通り使用したいと思います。