私たちの食生活に欠かせない加工食品や漬物などには、保存性や見た目を良くする目的で亜硝酸塩が使われています。しかし、摂りすぎると健康への悪影響が懸念される成分でもあります。
今回は、どんな食品に多く含まれているのか、そして子どもや家族の健康を守るためにできる工夫をわかりやすく紹介します。
毎日の食事をちょっと意識するだけで、安心につながりますよ。
そもそも亜硝酸塩とは?
亜硝酸塩(あしょうさんえん)は、ハムやウインナー、ベーコンなどの加工肉に使われる保存料の一種です。
お肉の色をきれいに保ったり、食中毒の原因になる菌を防いだりするために使われています。
でも、たくさん食べすぎると体に悪影響が出ることもあると言われているので、ちょっと気をつけたい添加物なんです。
亜硝酸塩や硝酸塩はなぜ使われる?
亜硝酸塩や硝酸塩(しょうさんえん)は、ハムやウインナー、ベーコンなどの加工肉を作るときに使われています。主な理由は3つあります
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色をきれいにするため
お肉が赤くて美味しそうに見えるように色を保つ働きがあります。 -
味をよくするため
独特の風味を出して、商品としての美味しさをアップさせます。 -
食中毒を防ぐため
特に「ボツリヌス菌」という危ない菌の増殖を防いで、安全に食べられるようにしています。
だから使われているんですが、摂りすぎは体に良くないこともあるので、バランスが大事なんです。
硝酸塩が多く含まれている食品
硝酸塩が多く含まれている食品は、以下のようなものがあります。
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ほうれん草
とくに春先や窒素肥料を多く使って育てられたものに多く含まれます。 -
小松菜
緑黄色野菜の中では硝酸塩の量が多めです。調理前にゆでこぼすと減らせます。 -
レタス
特にサラダなどで生で食べることが多いですが、外側の葉や芯の部分に多く含まれることがあります。
【参考文献】農林水産省「食品からの硝酸塩の摂取量」

これらの野菜は栄養もたっぷりなので、怖がらず「調理方法」や「バランス」を意識することが大切だよ
亜硝酸塩の食品別含有量
亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウムなど)は主に加工食品に多く含まれる傾向があります。
これは、食品の保存や発色を目的として食品添加物として使用されるためです。
食品名 | 含有量(ppm) |
---|---|
ベーコン | 10〜50 |
ハム | 30〜70 |
ソーセージ | 10〜150 |
ほうれん草 | 0.1〜1.0 |
チーズ | 1未満 |
※ppm(ピーピーエム)というのは、「100万分の1」を表す単位です。
【参考文献】食肉製品中の亜硝酸塩含有量調査(地方自治体の衛生研究所報告など)
実際に硝酸塩や亜硝酸塩はどれだけ摂ってもいいの?

どれくらいまでなら安全なんだろう?
世界保健機関(WHO)では、**1日に安全とされる摂取量(ADI)**を以下のように決めています。
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亜硝酸塩:体重1kgあたり 0.07mg
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硝酸塩:体重1kgあたり 3.7mg
つまり、例えば体重10kgの子どもなら…
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亜硝酸塩は 0.7mg/日 まで
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硝酸塩は 37mg/日 までが目安です
日本では、厚生労働省によって亜硝酸塩の使用量に厳しい制限があります
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ハム・ソーセージの亜硝酸ナトリウムの残存量:70ppm以下(食品衛生法)
摂りすぎを避けるための対策
硝酸塩や亜硝酸塩は、一部の野菜や加工食品に含まれていて、摂りすぎると赤ちゃんの体に負担がかかることも。
心配しすぎなくて大丈夫ですが、「ちょっと意識する」だけで予防できますよ。
加工食品は“たまに”使う
ハム・ウインナー・ベーコンなどは便利だけど、亜硝酸塩が含まれていることが多いです。毎日は避けて、週1〜2回程度を目安に。
野菜は「ゆでてから使う」が安心
ほうれん草・小松菜など硝酸塩が多めの野菜は、ゆでてから水にさらすと減らせます。ゆでこぼしで成分が流れます。
食べるバランスを大切に
「毎日同じもの」を避けて、いろんな食材を少しずつ。それだけで、摂りすぎる心配がかなり減ります◎
亜硝酸塩は欧州でどのように扱われている?
欧州でも亜硝酸塩は、食品に使われる保存料として一定の基準が設けられています。
赤ちゃんや子どもたちが安全に過ごせるように、以下のようなルールが決められています。
亜硝酸塩の使用量には制限がある
欧州連合(EU)では、亜硝酸塩が使われる食品に上限量が設定されています。
食品の種類 | 亜硝酸塩の上限量 | 備考 |
---|---|---|
一般加工肉(ハムなど) | 100〜150 mg/kg | 使用は限定的 |
一部特殊製品(保存目的) | 最大 200 mg/kg | 条件付きでのみ使用可 |
ベビーフード(離乳食) | 使用禁止 | 健康リスクへの配慮から使用不可 |
一日摂取許容量(ADI) | 0.07 mg/kg 体重/日 | 体重10kgの子は最大0.7mg/日まで |
例えば、ハムやベーコンなどの加工肉には、食品ごとに定められた量しか使うことができません。
これにより、摂りすぎを防ぎ、健康リスクを低減することが目指されています。
赤ちゃんや子どもへの配慮
欧州では、赤ちゃんや幼児に適した食材を提供するため、離乳食やベビーフードには、亜硝酸塩を含む成分が含まれていないようにすることが義務付けられています。
これにより、赤ちゃんにとって安全で安心な食事が提供されるようにしています。
【参考文献】Commission Regulation (EU) 2023/2108: EUにおける亜硝酸塩の使用に関する規制
規制と監視の強化
欧州では食品の安全を守るために、定期的な検査や監視が行われており、亜硝酸塩の使用が許可された範囲内で行われているかどうかが厳しくチェックされています。
もし基準を超える量が使われていた場合、販売停止や回収が行われます。
自然食品の選択を推奨
欧州では、加工食品だけでなく、無添加やオーガニック食品を選ぶことも推奨されています。これにより、赤ちゃんや家族が自然で安心な食材を摂ることができます。