カット野菜は危険?
切る手間がかからず手軽に使える「カット野菜」
利用したことのある方も多いのではないでしょうか? 生食用から炒め物用と、用途に合わせた様々な種類のものが販売されています。便利な「カット野菜」ですが、みなさんはどのようなイメージをもっていますか?
カット野菜の製造工程
入荷→下処理→洗浄→カット→洗浄→殺菌→すすぎ→脱水→計量→包装→出荷
カット野菜の製造の基本的な流れはこのようになっています。
入荷後検品を行い、外葉・皮・芯などを取り除きます。ここで粗くカットをする場合もあります。洗浄をしたのち、商品となるかたちにカットします。その後、洗浄(繰り返しすることも)~脱水を行ったのち計量して包装・出荷されます。
カット野菜の洗浄・殺菌には、通常「次亜塩素酸ナトリウム」が使用されています。 収穫した野菜には、有害な微生物に汚染された土や虫がついている可能性があります。次亜塩素酸ナトリウムを使用する目的は、これらを除去して食中毒を防止することまた雑菌の繁殖を防ぐことです。
この次亜塩素酸ナトリウムは、国が認めている食品添加物の一つでもあります。食品を安全に保つために、食品に直接触れる部分や器具などを消毒する際に使われているのです。
(注)次亜塩素酸ナトリウムには、食品添加物に指定されていないものもあります。
【効果・効能】
次亜塩素酸ナトリウムには、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの一般細菌やウイルスに対し、広く殺菌・消毒・不活化効果があります。
また、一般の消毒薬では効果が弱いノロウイルスにも有効です
次亜塩素酸ナトリウムとは?
カット野菜が危険だと言われる一番の要因がこの「次亜塩素酸ナトリウム」の使用です。
次亜塩素酸ナトリウムの野菜洗浄とは?
厚生労働省が発表している「大量調理施設衛生管理マニュアル」というガイドラインがあります。これは、飲食店など、たくさんの人に食事を提供する場所で、食中毒を防ぐためにどのように衛生管理を行えば良いか、ということが詳しく書かれたものです。
このマニュアルの中では、食材の殺菌について、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液を使うことが推奨されています。例えば、野菜や果物などを扱う前に、これらの消毒液につけて殺菌し、その後、流水で十分に洗い流すようにとされています。
次亜塩素酸ナトリウムは通常、水で希釈して使用します。(希釈した物を次亜塩素酸ナトリウム溶液といいます。) では野菜の洗浄・殺菌に使用する「次亜塩素酸ナトリウム溶液」の濃度はどれくらいなのでしょうか? 次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、「ppm」(ピーピーエム)という単位で表されます。
「ppm」 とはmg/Lを意味します。
例:200ppm溶液⇒1Lの水に200mgの次亜塩素酸ナトリウムが入っている。
1mg=0.001g、200mg=0.2g
0.02%(200ミリグラムパーリットル)の溶液に5分または0.01%(100ミリグラムパーリットル)の溶液に10分浸水することが望ましいとされています。
Q.次亜塩素酸ナトリウム溶液で栄養は抜けるって本当?
カット・洗浄の過程で、水溶性の栄養素(ビタミン類)は溶け出してしまいます。しかしすべてなくなるわけではありません。次亜塩素酸ナトリウムで洗浄・殺菌する場合、塩素臭さを残さないためしっかりと洗浄が行われます。よって多くの栄養が溶け出してしまう可能性があります。 ベストセラーとなった『食品の裏側』著者の安部司氏は、次亜塩素酸ナトリウムが水の中の塩素と反応して、野菜のビタミンが壊れると警告しています。
Q.袋を開けたときの独特のにおいはなぜ?
しっかり洗浄しても、消毒剤のにおいが残っている可能性はあります。また、カットして袋詰めされた野菜も呼吸をしているため、蒸れたようなにおいが薬剤のにおいに感じられるという説もあります。
【次亜塩素酸ナトリウムを使用する際の注意点】
- 手袋を着用する
- 酸性の洗剤と混ぜない
- 金属・メラミン食器は変色等のおそれがある
- 汚れ等の有機物は殺菌力を低下させる。
次亜塩素酸ナトリウムが及ぼす人体への影響
次亜塩素酸ナトリウムは、消毒薬のなかでは残留性が低く安全性が高いとされています。国の定めた基準値以下で使用すれば、体内に入っても問題ないと言われています。
しかし次亜塩素酸ナトリウムに含まれる物質には、胃腸や肝臓に負担をかけたり、喘息やアレルギー症状などを引き起こす可能性が指摘されています。
漂白剤の中には、非常に強い毒性を持っており、法律で取り扱いが厳しく制限されているものもあります。これらの漂白剤は、劇物に指定されている場合があります。
漂白剤を使った食品を洗ったり、漂白したりする場合、最終的には食品に漂白剤が残らないようにすることが理想です。しかし、ごく微量の漂白剤が残ってしまう可能性もゼロではありません。
問題なのは、この微量に残ってしまった漂白剤が、私たちの体にどのような影響を与えるのか、まだ十分に解明されていないということです。
つまり、たとえ微量であっても、人体に悪影響を及ぼす可能性があるということです。
国が認めていても安全とは限らないんだね
パッケージに表示の義務がない添加物について
加工助剤、キャリーオーバー又は栄養強化の目的で使用されるものについては、食
品添加物の表示を省略することができます。
引用元:基本的な表示事項
加工助剤とは
定義)食品の加工の際に使用されるが、(1)完成前に除去されるもの、(2)その食品に通常含まれる成分に変えられ、その量を明らかに増加されるものではないもの、(3)食品に含まれる量が少なく、その成分による影響を食品に及ぼさないもの
厚生労働省:食品添加物の表示について
【厚生労働省H.P:食品添加物の表示についてより】
次亜塩素酸ナトリウムは加工助剤に分類されるため、表示の義務はありません。
原材料に添加物が記載されていないからといって安心はできないんだね。
次亜塩素酸ナトリウム以外にも、表示の義務のない添加物はあるのかな?
- 洗浄剤
- シャキシャキ剤
- 変色防止剤 など
カット野菜が長く変色しないのも添加物の影響なんだね。
カット野菜は危険で体に悪い?次亜塩素酸ナトリウムが及ぼす人体への影響のまとめ
- 次亜塩素酸ナトリウムは国が認めている食品添加物で、人体に影響はないとされている。
- 次亜塩素酸ナトリウムは加工助剤のため、パッケージに記載する義務はない。
国の認めている範囲内であれば大丈夫とのことですが、添加物が使用されていることに変わりはありません。
気にする方はなるべく控えたほうがよさそうですね。