塩とマイクロプラスチックの真実|安心して使える塩と選び方

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健康のために、毎日の食事に「良い塩」を選びたい──そう思っている方は多いのではないでしょうか。ところが近年、海の汚染が進んだ影響で、海塩からマイクロプラスチック(ごく小さなプラスチック片)が検出されるという研究結果が世界中で報告されています。

マイクロプラスチックは目には見えませんが、体に取り込まれると炎症や代謝への影響が懸念されており、「できるだけ避けたい」と考えるのが自然です。

では実際のところ、マイクロプラスチックが入っていない塩は存在するのか? もしあるとしたら、どんな種類やブランドを選べば安心できるのでしょうか。

この記事では、塩の種類ごとの特徴や実際の調査結果をもとに、健康を意識する人が選びやすい「安心な塩」を分かりやすく紹介していきます。

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マイクロプラスチックとは

マイクロプラスチックとは、5ミリメートル以下の微細なプラスチック片の総称です。肉眼で見える大きさのものから、顕微鏡でしか確認できない極小サイズのものまで含まれます。

大きく分けて2種類あります。

一次マイクロプラスチック
最初から小さな粒子として製造されたもの。
・化粧品のスクラブ剤
・歯磨き粉に含まれていた研磨剤(現在は多くの国で規制)
・工業用のプラスチックペレット

二次マイクロプラスチック
大きなプラスチック製品が、紫外線や摩擦・波の作用などで劣化し、細かく砕けて生じたもの。
・ペットボトルやビニール袋の破片
・衣類から流出する化学繊維
・漁網やロープの摩耗片

マイクロプラスチックは「分解されにくいプラスチックが小さくなったもの」なんだね。

マイクロプラスチックを摂取するとどうなると言われている?

プラスチックが環境によくないってテレビで見たことあるよ!

環境への影響としては、

・海洋や川に流れ込み、魚やプランクトンなどが摂取する → 食物連鎖を通じて人間にも取り込まれる可能性。
・化学物質を吸着しやすく、有害物質の運び手になる懸念。

などが挙げられます。

マイクロプラスチックは人体への影響も大きいんだよ。

マイクロプラスチックは、食事や呼吸、皮膚接触など様々な経路で人体に取り込まれる可能性があり、消化器官や血液、肺、肝臓、脳など全身の臓器へ蓄積することが近年の研究で明らかになっています。

・消化器系への炎症や腸内環境の乱れ
摂取された粒子が腸粘膜を刺激し、炎症を引き起こしたり、腸内細菌バランスを乱す可能性が報告されています。
一部は腸から吸収されて血流に乗り、全身組織や臓器内に分布・蓄積することが確認されています。

・免疫系・内分泌系の異常
継続的な曝露により免疫細胞の過剰応答(アレルギー様反応や自己免疫的反応)や免疫力低下を引き起こす懸念があります。
内分泌撹乱作用も注目されており、ホルモンバランスの変化や生殖系への影響の可能性が指摘されています。

・がんや慢性炎症、臓器障害のリスク
肺、腎臓、脳、肝臓など、多くの臓器に微粒子の蓄積が認められ、細胞実験や動物実験で慢性炎症や細胞障害の発生、さらにはがんリスク増加が示唆されています。

・有害化学物質の運搬
マイクロプラスチック自体には吸着性があり、重金属や農薬、残留性有機汚染物質(POPs)を取り込みやすく、消化管などでそれらの有害成分が人体に移る危険性もあります。

マイクロプラスチックが入った塩として問題になった事例はある?

人体に悪影響があるってことは分かったけれど、どうやって体に入るの?

マイクロプラスチックは 「食べ物」「飲み物」「空気」 の3つのルートから、日常的に私たちの体に入っているんだよ。

マイクロプラスチックが人体に入る経路は、主に次の3つです。

【① 食べ物から】
魚介類:プランクトンや小魚が取り込んだマイクロプラスチックが、食物連鎖を通じて私たちの食卓に届きます。
貝類(カキ、ムール貝など):内臓ごと食べるため、特に摂取しやすい食品です。
塩や蜂蜜、野菜などからも微量のマイクロプラスチックが検出されています。
・農地の土壌に入り込んだマイクロプラスチックが、作物に取り込まれるケースも報告されています。

【② 飲み物から】
ペットボトル飲料:製造過程や容器そのものから微細なプラスチックが混入。
水道水・ミネラルウォーター:世界中で調査され、多くのサンプルから検出されています。
・コーヒーやお茶を淹れるときに使うティーバッグ(特にナイロン製)からもマイクロプラスチックが溶け出すことが知られています。

【③ 空気から(吸入)】
・衣類の繊維(ポリエステル、ナイロンなど)が摩耗して、マイクロファイバーとなり空気中に舞う。
タイヤの摩耗粉が道路から大気中に飛散。
・家の中のハウスダストにも繊維由来のプラスチック片が含まれており、呼吸で吸い込むことがあります。

なかでも塩は人が毎日摂取するものなので、少量でも長期的に体に入り続ける点が懸念されているんだよね。

マイクロプラスチックが入った塩で問題になったことはあるの?

実は「塩に含まれるマイクロプラスチック」は、世界的に問題視されてきたテーマなのです。

【代表的な事例】

  • 2015年 中国の研究
    ・欧州や南米、アジアなど複数地域の市販の海塩を調査したところ、ほぼすべてのサンプルからマイクロプラスチックが検出されました。
    ・海洋汚染が直接「食卓の塩」に反映されていると注目を集めました。
  • 2017年 韓国・タイの国際研究チーム
    ・世界各地の海塩39ブランドを調べた結果、90%以上からマイクロプラスチックを検出。
    ・特に東南アジア産の塩で濃度が高く、海洋プラスチック汚染の深刻さを裏付けました。
  • 2018年 WWFが公表した報告
    ・「人間は1週間に約5グラム(クレジットカード1枚分)のプラスチックを摂取している可能性がある」と発表。
    ・その中で塩が主要な摂取源のひとつとして挙げられました。

岩塩はマイクロプラスチックとは無縁?

マイクロプラスチックは海に多くあるから、海塩には混ざりやすいんだよね。

岩塩はどうなのかな?

岩塩とは

岩塩は、数百万年前に存在した海や湖が干上がり、その塩が地層中で結晶化したものです。
地中深くから採掘されるため、現代の海洋プラスチック汚染の影響を受けにくいのが特徴です。

岩塩とマイクロプラスチック

海塩と比較すると、マイクロプラスチックの混入リスクは圧倒的に低いとされています。

2015年の中国の調査でも、以下のような結果が出ています。

海塩 → 1kgあたり 数百個 のマイクロプラスチックを検出
岩塩・井戸塩 → ほとんど検出されないか、ごくわずか

岩塩が採掘されるのは地中の鉱床なので、入り込むマイクロプラスチックが少ないのです。

世界各地の食塩(海塩、湖塩、岩塩)の約9割からマイクロプラスチックが検出されていますが、汚染レベルは「海塩>湖塩>岩塩」の順で、岩塩は海塩よりはるかに少ない傾向があることがわかっています。

ヒマラヤ岩塩などの商品では「マイクロプラスチックとは無縁」「安心して使える」とアピールされていますが、岩塩の一部で微量に検出例もあります。

マイクロプラスチックを除去する技術、製法

人体への影響も多いマイクロプラスチック。

できれば摂取したくないなぁ・・・

マイクロプラスチックは目に見えないほど小さい(数mm〜数µm)ため、除去は簡単ではありませんが、近年さまざまな技術や製法が開発・検討されています。

マイクロプラスチックを除去する主な技術・製法を解説します。

ろ過・フィルター(Membrane Filtration)

逆浸透膜(RO膜)ナノフィルトレーション膜を用いる方法です。
フィルターを使ったろ過で、塩に含まれるマイクロプラスチックを物理的に取り除きます。
直径0.001µm程度まで除去できるため、マイクロプラスチックはほぼ全量カット可能。
海水淡水化や浄水処理で既に利用実績があります。

⚠️ 課題:コストが高い、膜が詰まりやすい。

凝集・沈殿法

水に 凝集剤(アルミニウム塩・鉄塩・高分子凝集剤) を添加し、マイクロプラスチックを大きなフロック(塊)にして沈殿します。
下水処理場で実際に活用されており、除去率は 50〜90% とされています。

⚠️ 課題:微細サイズ(ナノプラスチック)は完全には除去できません。

先進酸化プロセス(AOP: Advanced Oxidation Process)

オゾン(O₃)、過酸化水素(H₂O₂)、UV光などで酸化して、マイクロプラスチックを分解します。
表面を化学的に削って微細化・劣化させ、最終的に二酸化炭素や水に分解します。

⚠️ 課題:完全分解には時間とエネルギーがかかります。

生物学的分解(バイオレメディエーション)

一部の細菌やカビがプラスチックを分解できることが報告されています。

例:Ideonella sakaiensis(日本で発見されたPET分解菌)
一部の酵素(PETase, MHETase)がプラスチックを分解。

⚠️ 実用化はまだ研究段階で、大規模処理には時間がかかります。

ナノテクノロジー利用

磁性ナノ粒子を使ってマイクロプラスチックを吸着して、磁石で回収します。
グラフェンやバイオ炭などの 高吸着性材料 を利用する研究も進行中です。
実験段階では除去効率90%以上の成果もあります。

食品用精製(塩の例)

海塩の精製で、再結晶法を使うとマイクロプラスチックを大幅に減らせます。

具体的には、以下のような手順です。
海水を一度溶解 → 不純物を沈殿・ろ過 → 再結晶化して塩を作る

実際に精製塩(イオン交換膜法で作る塩) ではマイクロプラスチックが検出されにくいことが分かっています。

気になる日本の有名塩メーカーのマイクロプラスチックの有無を徹底調査

私たちが使っている塩にはマイクロプラスチックが入っているのかな?

日本の有名塩メーカーで調べてみよう!

伯方の塩

公式サイトで製造工程・品質管理に関する情報を公開。放射能等の分析結果は定期公表していますが、マイクロプラスチックについての外部学術論文による公表データは見つかりません。メーカー側は品質管理(取水・ろ過・目視検査など)を説明しています。

複数の日本のまとめ記事や消費者向け調査では「伯方の塩は自主検査で不検出とする報告がある」との二次情報も見つかりますが、一次の独立分析(学術誌掲載)は未確認です。

ぬちまーす

メーカー説明では製法(常温瞬間空中製塩法など)や「マイクロプラスチック除去フィルターで不検出」といった主張が二次情報・販売ページで紹介されていますが、査読論文や公的機関の独立レポートで該当ブランド名が明示されている一次データは見つかっていません

企業からのコメントです。「定期的に外部機関へ依頼しており、未検出です。」との回答。
マイクロプラスチックより、はるかに小さいフィルターで除去されています。

雪塩

直接の独立学術データは確認できませんでした。
メーカーの公開情報や販売説明では製法や安全性に関する説明あり(ただしマイクロプラスチックに特化した公的試験結果の公表は見つからず)。

以下、企業からのコメントです。

雪塩は、マイクロプラスチック検査結果では、ほぼ混入なしとの結果を頂いているため含有量については高いものではございません。
雪塩は宮古島の琉球石灰岩という天然のフィルターを通り、そこで取水した原海水をUF膜(0.01μm~0.001μ)を使用しろ過しております。
弊社で行っている、この製法がマイクロプラスチックをはじめとした不純物が取り除かれる最大限の対策と考えております。

引用:hydrange-koyori.com

粟國の塩

会社(沖縄ミネラル研究所)サイト等で製法や成分の説明あり。
メーカー側は工程でのろ過等を記載している例が見つかりますが、第三者の学術論文に銘柄名が出ている形の検査データは確認できません。

分析結果では、製造工程で3本のフィルターが使われているので、検出されませんでした

土佐の海の天日塩あまみ

インタビューや商品説明で「取水→工程でフィルターを通すため(または目視等で)一定サイズ以上は除去される」といったメーカー側説明が見られます。

以下、企業からのコメントです。

マイクロプラスチックの大きさは様々ですが、海水の取水の際や海水を濃くする工程の際などに何度もフィルターを通しておりますので、一定の大きさまでは除去できていると考えております。
また重金属、微生物、放射性検査を定期的に行っており、今までに問題はありません
また、マイクロプラスチックは大気中にも存在するため、海水を濃くする工程の際にも混入すると考えられます。
現在のところ検出や対策をすることが難しいマイクロプラスチックですが、これからも情報を集め、対策を考え続けていきます。

引用:hydrange-koyori.com

カンホアの塩

輸入販売サイト・商品説明に「天日塩/海水100%/天日干しで製造」との記載が多く、天日結晶のまま出す“非精製の天日塩”は工程でフィルタを多用しない場合があるため、原則として海水のマイクロプラスチックがそのまま残る可能性があることに留意が必要です。

ホームページには「カンホアの塩は、マイクロプラスチック対策として何か行っていますか?」という質問に対して、以下のように回答されています。

はい。カンホアの塩を結晶させ始める直前の、濃くなった海水を、目開き95マイクロメートルのフィルターにかけています。2017年生産分から試験的に、カンホアの塩の全ての専用塩田で始めていましたが、今後も継続します。弊社出荷ベースでは、2019年1月からこのフィルターの工程を経たカンホアの塩になっています。

引用:hydrange-koyori.com

フィルターを使ってマイクロプラスチック対策をしている様子が分かります。

海の精

流通側・メーカー側の情報(工程説明)では「海水を濾過→平釜/天日等の伝統的製法も取り入れつつ、工程で数回フィルターを通す」等の説明があり、流通団体(生活クラブ)等が外部機関に依頼して実施した検査で『不検出(検出限界:1 ppm)』という報告がある例が見つかっています(流通団体の公表)。

以下、企業からのコメントです。

海水の汲み上げ時から工程毎に数段階のろ過を実施し、平釜にかん水(塩田で太陽熱と風力を利用して濃縮した海水)を投入する、ろ過最終工程においても数段階のろ過を実施し、報道されているマイクロプラスチック粒子よりもはるかに細かい単位のフィルターろ過を行っております

引用:hydrange-koyori.com

ゲランドの塩

国際的研究(2017, 2018の海塩サンプル調査)では「世界の市販海塩の多くからマイクロプラスチックが検出された」旨の結果があり、一部の未精製な天日海塩のサンプルで高い値が出た例もあります

青い海・シママース

活クラブが委託した検査で「青い海」系の製品が不検出(検出限界1 ppm)であったとの報告があり、メーカー側でも工程で細かいフィルターを複数回通す等の説明が見られます。

以下、企業のコメントです。

弊社で行っている製品へのマクロプラスチック(5mm未満の微細プラスチックごみ)混入対策としましては、
①海上保安庁などが発表する海洋汚染に関する情報のチェック。
②海水取水後は必ずフィルター(3μm)を通す。
③塩製造後の製品サンプルを抜き取り、定期的に外部検査に依頼して成分分析を行う。
※今までプラスチック由来の成分が検出されたことはありませんが、極微小のレベルになると検出できないこともあるようです。

製造ノウハウ等の詳細まではお伝えできませんが、伝統的な製塩の良い部分を残しながら現代的な設備で製造しておりますので、ISO22000の認証取得も済ませて各工程での品質管理も徹底しております。
また、補足で付け加えますと塩化ナトリウム以外のミネラル量を多く残すような製法ではなく、昔ながらの料理に合う基礎調味料としての塩作りを目指しておりますので、普段使いのお塩としてお使いいただけるとうれしいです。

引用:hydrange-koyori.com

まとめ

世界中の調査で、海塩からはマイクロプラスチックが検出されやすいことが分かっています。海水をそのまま使うため、どうしても海洋汚染の影響を受けやすいのです。

一方で、岩塩や地下水由来の塩(井戸塩)はマイクロプラスチックがほとんど検出されないという研究結果もあります。また、日本の塩メーカーの多くは製造過程で「ろ過」や「精製」を行っているため、海外の天日塩と比べてマイクロプラスチックが少ないか、検出されない例が多いことが報告されています。

【選び方のポイント】
・「岩塩」や「井戸塩」は安心度が高い
・国産の精製塩・平釜塩は比較的安全
・天日塩(特に海外産)はマイクロプラスチックが残っている可能性がある

「完全にゼロ」を保証するのは難しいものの、国内メーカーの精製塩や岩塩を選ぶとマイクロプラスチックのリスクを大幅に減らせるといえます。

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