食用油に入っていることがあるシリコーンとは
『シリコーン』とは、化学反応によって作られた添加物です。
ケイ素(シリコーン)と酸素を主成分とするポリマー(分子量の多い分子)の一種で、独自の構造(シロキサン結合)を持っています。
高温や紫外線・水分に強いことから、紫外線や水をはじくなどの用途で使用されることが多いです。
そのため、化粧品やゴム、オイル、プラスチック(シリコーン樹脂)などに活用されています。
シリコーンが使われている理由
外食チェーン店で使用されている業務用の揚げ油に使用され家庭用の油には含まれていません。
その理由を二つご紹介します。
舌触りやのど越しを滑らかにするため
シリコーンは、液体にできた泡を消したりできるのを予防する『消泡剤』の役割を担っています。
気泡を消すことで、見栄えの良く滑らかな商品に仕上げることができます。
(使用例)プリン、杏仁豆腐、茶わん蒸し、ワインなどの飲み物
油の飛び跳ねを防ぐため
シリコーンは水分や高温に強いことから、高温の油が跳ねることをふせぐことができます。
そうすることで、『一度の油で作ることができる数が増える』『火傷の危険性が減る』などのメリットがあります。
保存性を高める
『化学的安定性が高い』・『耐熱性が高い』という性質から、製品の保存性を高める働きや油の劣化を抑える働きを担っています。
スポンサーリンク食用油のシリコーンは体に害はないの?
食品に含まれている『シリコーン』は厚生労働省が認めた食品添加物です。
そして『体内に吸収されにくい』、『アレルギー性が低い』性質があり、安全性が比較的に高いことから、食品や医療に使われています。
しかし、一部の研究では『微細な粒子が人体に害を及ぼす危険性』が指摘されており、使用量の上限が0.05g/㎏制限されるなど、厳格に管理されています。
懸念される危険性
シリコーンが安全な量を超えて、体内に残ってしまった場合懸念されるのは、以下の症状などがあります。
呼吸器官への障害
- 呼吸が苦しくなる
- 咳
- 喘鳴(呼吸するとヒューヒューと音が鳴る)
胃腸系への影響
- 消化不良
- 腹痛
- 下痢
- 吐き気
これらはシリコーンを過剰摂取した際に発症する可能性がある症状なので、厚生労働省の基準を守っている飲食店では起こらないことが多いです。
しかし、シリコーンの規定について国によって大きく対応が異なります。
(例)欧州安全食糧機関⇒厳しく制限
米国食品医薬品局⇒シリコーンの使用許可
外食する場合や海外の飲食店に行く場合、該当店舗のホームページを確認するとよいでしょう。
食用油にシリコーンが入っている可能性があるもの
①飲食店の揚げ油
コンビニやドーナツ店、揚げ物店の揚げ油などに含まれています。
以下のような用途で使用されています。
油跳ねを防止⇒火災・火傷のリスクを軽減
油の劣化を防止⇒風味や味わいの維持・油の劣化による健康被害の予防
②ジャム・シロップ
煮詰めた際に出る気泡を消す『消泡剤』として使用されています。
そうすることで滑らかな舌触りに仕上げます。
③滑らかな食品
プリンや茶わん蒸し、豆腐、アイスクリームの製造時に使用されることがあります。
これらも滑らかな食感を抑えるため、製造過程で使われます。
スポンサーリンク④ドリンク
缶コーヒーやソフトドリンクなどの飲料にも使用されています。
そうすることで、のど越しをなめらかにすることができます。
スポンサーリンクシリコーンの表示方法
次に業務用の油を購入する際、シリコーンが含まれているか確認する方法をご紹介します。
日本では、消費者が正しく食品添加物について理解することができるように、食品添加物の表示方法には厳格なルールが設けられています。
シリコーンの表示方法についてもルールがあり、表示されるパターンが2つあります。
消泡剤と表示される場合
基本的に含まれているシリコーンの量が少量の場合、『消泡剤』と表示されます。
消泡剤にはシリコーンのほかにも種類があるため、シリコーンが入っているのかはっきりとはわかりませんが、シリコーンの場合が多いです。
そのため、食品の添加物表示ラベルを確認すると良いでしょう。
表示されない場合
食品を作る段階で使用される『加工助剤』として使用されて場合、最終製品にはほぼ残留しないことから表示が免除される場合があります。
『加工助剤』として使用される場合でも、厚生労働省が定めた基準値に従って使用されているため、人体に影響が出る可能性は非常に低いと考えられます。
まとめ
シリコーンはその安全性と多用性から多くの場面で使われています。
世界各国で『体内には吸収されづらい』『体内に蓄積しづらい』ことから、安全性が認められてはいますが、シリコーンに反応しやすい体質の方も一部います。
そのため、気になる方は必ず食品の添加物ラベルを確認するようにしましょう。