最新研究論文、エビデンスをベースにした危険な添加物まとめ

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ここでは、各種添加物の危険性について、様々な論文やエビデンスをもとにして、時系列でまとめていますので参考にしてください。

 

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甘味料(アセスルファムK、スクラロース)

2024年:腸内細菌への影響に関する研究

人工甘味料の代謝健康への長期的影響の探究(2024)

論文の概要

人工甘味料は、砂糖の代わりとして飲料や加工食品などに広く使われています。カロリーが低く、血糖値を上げにくいとされてきましたが、近年の研究により、健康への悪影響も指摘されるようになりました。

フランスの研究チームが105,588人を対象に、平均9.1年にわたり行った大規模な疫学調査では、人工甘味料の一種であるアセスルファムKとスクラロースの摂取が、2型糖尿病の発症リスクを大きく高めることが明らかになっています。

具体的には、アセスルファムKで63%、スクラロースで70%リスクの増加が見られました(ハザード比:それぞれ1.63および1.70)。

これらの甘味料は、腸内環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。腸内の善玉菌(LactobacillusやBifidobacterium)が減り、悪玉菌(Proteobacteria)が増え、腸内フローラのバランスが乱れる要因となります。

その結果、短鎖脂肪酸の産生が低下し、腸のバリア機能が弱まる「リーキーガット」が引き起こされることもあるのです。

このような腸の異常は、全身の慢性的な炎症やインスリン抵抗性を促進し、結果的に糖尿病、肥満、心血管疾患など、生活習慣病のリスクを高める要因になると考えられます。

論文に対する考察コメント

健康のために糖質を控え、人工甘味料を選ぶ人が増えています。でも、その安全性はどうなのでしょうか。

Cureus誌の論文によると、アセスルファムKやスクラロースは腸内環境に影響を与え、善玉菌の減少や腸内バランスの乱れに繋がる可能性が報告されています。

こうした変化は、腸内環境を守るヒーローのような酪酸の産生低下につながり、炎症やインスリン抵抗性といった代謝異常を招くおそれがあるそうです。

腸の健康を守るためには、こうした甘味料を安易に摂るのではなく、自然由来の甘味にも目を向けることが大切なのではないでしょうか。

調味料(アミノ酸等)

こちらの研究内容は、2024年に発表されたグルタミン酸ナトリウム(MSG)に関するものです。

2024年:視覚器官および全身への影響に関する研究

グルタミン酸ナトリウム(MSG)食品添加物の視覚器官および人体への影響に関する現状の問題点(2024)

論文の概要

グルタミン酸ナトリウム(MSG)は、食品添加物として使用されているアミノ酸の一種です。スナック菓子やインスタント食品、冷凍食品などの味をおいしく感じさせるために使われています。

特に、私たちがよく食べるファストフードや加工食品には多く含まれているものですが、近年、網膜に対する健康影響が注目されています。

網膜は、光を感じて脳に情報を伝える重要な器官です。MSGを大量に摂取すると、視力の低下や網膜の変性につながるなどの悪影響を与える可能性があることが分かりました。

動物実験でも、MSGを多く与えられたラットの網膜が薄くなり、視覚機能が低下する様子が確認されました。

また、加齢によって起こる「黄斑変性」や「緑内障」といった深刻な目の病気につながる可能性も示唆されています。

また、MSGは脳の神経細胞にも悪い影響を与える可能性があり、酸化ストレスや細胞の死(アポトーシス)を引き起こすことが指摘されています。

さらに、妊娠中の女性がMSGを含む食品を(※誤字?)過剰に摂取すると、お腹の中の赤ちゃんの神経の発達や目の成長に影響を及ぼすおそれもあるため、注意が必要です。

このような健康リスクを正しく評価するためには、人を対象にした長期的な研究や、他の添加物との組み合わせによる影響の調査が求められています。

今後は、網膜への影響を早期に発見できる診断法の開発や、消費者への情報提供も重要な課題とされています。

論文に対する考察コメント

MSGは料理をおいしくする便利な調味料です。スナック菓子やファストフードにも使用されており、私達の生活に根付いている調味料の一つとも言えます。

ですが、その身近な調味料が、眼や脳に悪影響を及ぼすと知っている人はどのくらいいるのでしょうか。

身近に使われている調味料だからこそ、どれくらい食べると目に悪いのか、どれくらいで健康被害が出るのか、他の食品添加物といっしょに摂取した(※摂取した)ときにどうなるのか、なども知る必要があると思います。

この研究ではそこまでは言及されていないため、今後引き続き気にしていく必要があると感じました。

体のことを考えるなら、なるべく自然な食べ物をえらび、味の濃い加工食品ばかりに頼らないようにすることが大切です。

食事は毎日の積み重ねです。おいしさと健康、どちらも大切にしたいですね。

増粘剤(キサンタンガム、グアーガムなど)

2022年:腸内細菌叢への影響に関する研究

こちらの研究内容は、2022に発表されたキサンタンガムに関するものです。

食物添加物キサンタンガムのヒト腸管における消化メカニズムの解明

論文の概要

この研究は、食品添加物として広く使われているキサンタンガムが、人の腸内細菌によってどのように分解・利用されるのかを調べたものです。

キサンタンガムは増粘剤としてさまざまな加工食品に使われていますが、自然の食物繊維とは構造が異なり、腸内でどのように処理されるのかはよく分かっていませんでした。

調査の結果、私達現代人の腸内細菌叢に、キサンタンガムを分解できる能力があることが分かりました。

この分解は、ルミノコッカス科の未培養細菌(R.UCG13)が中心となり、まずキサンタンガムの主鎖を切断し、その後に酵素でオリゴ糖へと分解します。

さらに、一部の人の腸内には、このオリゴ糖を利用できるバクテロイデス・インテスティナリスが存在し、R.UCG13との間で「食物連鎖」のような関係ができていました。

無菌マウスを使った実験でも、キサンタンガムを与えるとこれらの細菌が増えることが確認されました。

これらの結果から、比較的新しい食品添加物であるキサンタンガムが、人の腸内細菌の構成や生態に影響を与える可能性があることが示されています。

論文に対する考察コメント

キサンタンガムは、食品にとろみや粘りをつけるためによく使われる「増粘剤(ぞうねんざい)」という添加物の一種です。

実はグルテンフリーのパンやドレッシングなど、私たちが普段食べている加工食品によく入っています。

この論文では、私達の腸にキサンタンガムが届く事で、“細菌同士の食物連鎖”が生まれることが書かれています。

さらに、この食物連鎖は現代的な食生活の人に多く見られ、昔ながらの食生活の人にはほとんど見られなかったそうです。

つまり、キサンタンガムによる腸内の食物連鎖は、現代生活ならではの腸内変化と言えます。しかし、現代人の食生活に見られる現象の一方で、キサンタンガムには注意しなければいけない側面もあります。

キサンタンガムは食物繊維と同じく腸まで届く物質ですが、食物繊維とは構造や他の物質との結合の仕方が大きく異なります

そのため、キサンタンガムは腸内環境での働きがまだ未解明で、健康への影響も従来の食物繊維とは別に考える必要があります。

すぐに体に悪いという結果ではありませんが、腸内環境への長期的な影響はまだ分かっていません。

現時点で、私達ができる事はできるだけ添加物を減らし、自然に近い食事を選ぶことです。それが、私達の体のためにも大切ではないでしょうか。

着色料(タール色素、カロチノイド色素)

2024年:タール色素が健康に及ぼす影響についての研究

こちらの研究内容は、2024年5月に発表されたタール色素に関するものです。

黄色と赤色の合成食品着色料と潜在的な健康被害(2024)

論文の概要

この論文は、食品に使われる黄色・赤色の合成着色料、とくにアゾ系色素(タートラジン、サンセットイエロー、カーモワジン/アゾルビン、アマランス、ポンソー4R、オールラレッドAC)やキノリン系色素(キノリンイエロー)について、その特性、用途、健康影響、規制状況をまとめた総説です。

食品の色は見た目や食欲に大きく影響します。しかし、自然由来の色素は加工や保存で色が失われやすいため、安定性と低コストを持つ合成着色料が広く利用されています。

中でも、アゾ系色素は世界の生産量の6割以上を占め、お菓子や飲料、加工食品などに多用されている着色料です。

しかし、このアゾ系色素に、アレルギー反応、行動や認知機能への影響、発がん性や遺伝毒性などの可能性があることが判明しました。

特に子どもに対しては注意が必要で、欧州連合では一部の色素に「注意欠如や多動性に影響するおそれがある」と表示する義務があります。

代表的な色素と許容一日摂取量(ADI)は国際機関で定められており、多くは通常の摂取量では安全とされています。

しかし、高用量や敏感な人では健康影響が出ることがあります。各国で規制や使用制限が異なり、日本や米国では禁止されている色素も存在します。

今後は、国際的な規制の統一、使用実態の監視、分析技術の高度化、そして天然色素への置き換えが食品安全確保のために検討されるべきでしょう。

論文に対する考察コメント

最近は見た目のきれいなお菓子や飲み物が多く見られます。それに伴い、発色の良い、ジュースやお菓子も見られるようになりました。

この論文で紹介しているタール色素(アゾ系色素)は、そういったきれいな色を出すためにお菓子やジュースに入っている添加物だそうです。

天然由来のものと比べ、発色も良くよくコストも低い人工の着色料。しかし、体質によってはアレルギーが出たり、ガンのリスクが高まる事もあり、子供の場合は、落ち着きのなさや集中力の欠如に繋がることもあるそうです。

『見た目がきれい』『美味しそう』という理由で、着色料が使われた食品を大量に摂取することは、子供にとっては、学校生活や集団生活を送る上での支障となり、その子の今後に大きな影響を与える可能性もあると言えます。

摂取量が通常使用量の範囲内なら大きな心配はない着色料ですが、広く様々な食品に使用されているため、気づかないうちにたくさんとってしまう可能性があります。

健康を守るためには、原材料表示をチェックして、着色料の過剰摂取を避けること。そして、できるだけ自然の色や素材そのものの色を楽しむ食品を選びたいなと思います。

保存料(ソルビン酸K)

2025年:脳への影響に関する研究

こちらの研究内容は、2025年に発表されたソルビン酸Kに関するものです。

ポタシウムソルベートがウィスターラットの認知機能と海馬形態に与える影(2025)

  • 著者:
  • M.Y. Adana (Department of Anatomy, Faculty of Basic Medical Sciences, College of Health Sciences, University of Ilorin)
  • K. Lawal (Department of Anatomy, Faculty of Basic Medical Sciences, College of Health Sciences, University of Ilorin)
  • O.G. Onigbolabi (Department of Anatomy, Faculty of Basic Medical Sciences, College of Health Sciences, University of Ilorin)
  • S. Akintola (Department of Anatomy, Faculty of Basic Medical Sciences, College of Health Sciences, University of Ilorin)
  • 掲載誌: Journal of Experimental and Clinical Anatomy
  • URL:https://www.ajol.info/index.php/jeca/article/view/292333

論文の概要

この論文はソルビン酸カリウムが、脳の記憶を司る『海馬』という部分に対する影響について調べたものです。

ソルビン酸カリウムは、食品の保存料としてよく使われており、これまで比較的安全と考えられてきました。

しかし、脳に対して本当に影響がないのか、今回、ラットを使い実験を行いました。まず、8〜10週齢のラットに、異なる量のソルビン酸カリウムを毎日56日間与え、『海馬』にどのような影響が出ているのかを見てみました。

すると、ソルビン酸カリウムの摂取量が多いほど海馬の細胞に変化が起こり、細胞の一部が縮んだり失われていることが判明しました。

また、酸化ストレスにより細胞を傷つける様子も見られました。しかしその一方で、迷路を使った学習や記憶のテストでは、はっきりとした能力の低下は見られませんでした。

つまり、ソルビン酸カリウムは脳の細胞には影響を与えるものの、短期間では学習や記憶に大きな問題は出にくいことが分かりました。

この結果は、保存料の安全性を考える上で大切な手がかりになりますね。

論文に対する考察コメント

ソルビン酸カリウムはカビや細菌を防ぐ働きがあり、パンやケーキ、スナック菓子やワインなど、様々なものに使われている保存料です。

多種多様の身近な食品に使われているため、私達が、常に摂取し続けているものといえます。

しかし、この研究を読むと、『このまま保存料の入っている食品を摂取し続けて大丈夫なのか』と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

今まで安全とされており、様々な食べ物に使われてるこの保存料が、脳の細胞にダメージを与えることが判明したからです。

このラットを使った研究では、ソルビンKを大量に摂取すると、脳の記憶を司る『海馬』の細胞が変化したり、自らの細胞を傷つける酸化ストレスという現象が見られたそうです。

今回の研究では学習や記憶に大きな影響は出なかったものの、細胞レベルでのダメージは確実に見られたとのこと。

『すぐには影響は出ないので気がつきにくいが、気がついたら記憶力や学習能力が落ちていた』という状況になる可能性があるね

幸い、このソルビン酸カリウムは成分表で含まれているかどうかが確認できます。

加工食品を全く取らない生活は難しいかもしれません。しかし、気にしないで食べ続けるのも抵抗があります。

”できるだけ無添加や自然な食材を選び、保存料を含む加工食品は「たまに」にする”ことが、安心して食生活を楽しむ工夫の一つだと思います。

pH調整剤(酢酸ナトリウム、グリシンなど)

2024年:運動能力への影響に関する研究

こちらの研究内容は、2024年10月に発表されたグリシンに関するものです。

グリシンサプリメントが身体能力と回復力を高める可能性に関する最新情報(2024)

論文の概要

グリシンは最も単純なアミノ酸で、肉や魚、卵、豆類などに含まれています。体内でも合成され、コラーゲンやグルタチオンの材料となり、筋肉や神経の働きに関わっています。

研究では、グリシンを摂取すると筋肉の合成や修復を助けたり、炎症や酸化ストレスを抑えたりすることが報告されています。

また、高強度の運動による乳酸の蓄積を抑える可能性や、睡眠の質を高める作用も示されています。これらの働きは、運動後の疲労の回復や持久力の維持に繋がると期待されています。

一方で、グリシンのサプリメントとしての有効性については、人を対象とした研究がまだ十分に行われていません。

動物実験や細胞実験の結果が中心で、実際のスポーツ現場でどの程度役立つかははっきりしていないのが現状です

また、グリシンは通常の食事量では安全ですが、高用量を摂りすぎると次のような腎臓や肝臓への負担、神経への悪影響が起こる可能性も指摘されています。

細胞毒性:体重1kgあたり500mgを超える量では、腎臓や肝臓に細胞毒性が生じる可能性があります。

急性毒性:大量摂取により、脳で急性の毒性が起こり、神経細胞の死につながる危険が指摘されています。

腎・肝への負担:高用量では腎臓や肝臓への有害作用がみられる可能性があります。

グリシンは筋肉や睡眠に良い影響をもたらす可能性があり、今後の研究が期待されます。ただし、過剰に摂取すると健康被害が起こる可能性があるため、安全な量や使用方法を明らかにするための臨床研究が必要です。

論文に対する考察コメント

グリシンは、肉や魚、豆類など身近な食材に含まれていて、体の中でも作られるアミノ酸です。アミノ酸なので安全性が比較的高く、食品添加物として「pH調整剤」と表示されることがあります。

グリシンは「酸と塩基のバランスを取る役割」を持ち、食品の味や品質の安定化に使われているものだそうです。

研究によると、筋肉の合成や修復を助けたり、炎症や酸化ストレスを抑えることで運動後の疲労回復に役立つだけでなく、寝る前に摂ると睡眠の質が上がるという効果が期待されるとのこと。

忙しい毎日を送る現代人にとって、とても魅力的なアミノ酸と言えます。

効果を聞くと積極的に摂りたい所ですが、気をつけたいのは「量」です。サプリメントなどで高用量を摂りすぎると、腎臓や肝臓に負担がかかったり、脳や神経に悪影響が出る危険性もあるそうです。

体に良いものでも、摂りすぎはリスクにつながります。普段の食事から自然に取り入れるように工夫することが大切ですね。

加工でんぷん

2007年:食品安全基本法に基づく科学的評価

こちらの文書は、2007年11月に発表された加工デンプンに関する政府評価報告書です。学術論文ではありませんが、科学的価値と信頼性は高く、政策決定の重要な根拠文書として位置づけられているものになります。

添加物評価書 加工デンプン(2007)

論文の概要

加工デンプンとは、食品に使われるでん粉を化学的や物理的に処理して、より使いやすく改良したもののことです。

食品にとろみをつけたり、冷めても固まりにくくしたり、安定させたりするために利用されます。

日本の食品安全委員会は、11種類の加工デンプンについて安全性の評価を行いました。今回評価されたのは、次の11種類の加工デンプンです。

  1. アセチル化アジピン酸架橋デンプン
  2. アセチル化リン酸架橋デンプン
  3. アセチル化酸化デンプン
  4. オクテニルコハク酸デンプンナトリウム
  5. 酢酸デンプン
  6. 酸化デンプン
  7. ヒドロキシプロピルデンプン
  8. ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン
  9. リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン
  10. リン酸化デンプン
  11. リン酸架橋デンプン

動物を使った実験では、大量に与えると盲腸や腎臓に変化が見られることがありましたが、これらは通常の未加工のデンプンでも起こるラット特有の現象で、人間の健康に影響する可能性は低いと考えられています。

また、発がん性や遺伝に影響する毒性も確認されませんでした。これらの加工デンプンは、すでに日本や海外で長く食品に使われてきており、これまでに特別な問題は報告されていません。

国際的な機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)でも、通常の使用で安全性に懸念がないとして、一日摂取許容量(ADI)を特に定めないと評価しています。

日本の委員会も同様に、適切に使用される限り健康への心配はないと判断しました。ただし、乳幼児向け食品での使用については注意深く見守ること、また製造の過程で残る可能性のあるプロピレンオキシドについてはできる限り減らすよう配慮することが求められています。

論文に対する考察コメント

「加工デンプン」とは、とろみをつけたり、冷めても固まりにくくしたりと、冷凍食品からベビーフードなど様々な食品に使われている添加物です。

でも、体への影響は大丈夫なの?と気になる方もいるのではないでしょうか。この報告書によると、11種類の加工デンプンが安全性の面から詳しく評価されています。

結論からすると、加工デンプンには、発がん性や遺伝にかかわる毒性は確認されず、人への健康リスクは低いそうです。

また、一日摂取許容量(ADI)の特定は不要で、国際的にも「通常の食事で使う範囲なら安全」とされています。

現在、加工デンプンについては、国際的に安全性が認められている状況であり、近年の研究「Recent advances in modified starch based biodegradable food packaging: A review」(2024)「でん粉から作られる糖化製品の現状と将来」 (2023)「玄米の調理条件がレジスタントスターチ含量に及ぼす影響」 (2024年)によると、加工でんぷん(特にレジスタントスターチや機能性オリゴ糖)が腸内環境の改善、生活習慣病の予防、免疫機能の強化など、多方面にわたって健康に正の影響を与えることが明らかになっています。

ただし、乳幼児向け食品に使う場合には注意深くモニタリングを行う必要があること、また製造過程で残る可能性のあるプロピレンオキシドについてはできる限り減らす努力が求められています。

各国の規制の現状としては、EUでは、乳幼児食品にてヒドロキシプロピル系2種類の使用を完全禁止(理由: 安全性情報の不足を明記)し、米国では 一般的に安全と認定しているが、残留リスクに注意喚起されています。

一方、日本では残留低減化の努力義務が課されており、摂取について慎重な判断が必要であると示されています。

個人的には、この報告を読んで「加工デンプン=危険」というわけではないと安心しました。

しかし、加工デンプンに関しては、近年の研究ではその健康効果に特化したものが多く、危険性についての研究が少ない印象があります。

特にこの加工デンプンは、とろみ付けに使われる事が多く、今この瞬間にも、ベビーフードや介護食といったモニタリングが必要とされる商品にも使用され続けています。

この現状を考えると、加工デンプンの研究結果には、リスクも含め、常に関心をもっていたいと思いました。

併せて、毎日の食生活では“必要以上に摂らない工夫”や“できるだけ自然に近い食品を選ぶ意識”を心がけたいですね。

カラメル色素

2021年:発がん性に関する研究

例)こちらの研究内容は、2021年に発表されたカラメル色素に関するものです。

胃腸上皮細胞に対する4-メチルイミダゾールの影響(2021)

論文の概要

4-メチルイミダゾール(4-MI)は、カラメル色素の製造過程などで生じる化合物で、清涼飲料に微量含まれています。

4-MI は国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対して発がんの可能性がある物質」と分類されており、動物実験では106週間にわたる長期の摂取で肺の腺腫やがん、白血病、乳腺腫瘍などが確認されています。

これを背景として、この研究では、4-MIが胃や腸の細胞にどのような影響を与えるかを調べました。

実験では、胃や腸の細胞に4-MIを短時間で高濃度与えると、胃がん細胞や大腸由来の細胞の増殖が抑えられました。

長時間与えると、すべての細胞で増殖が弱まり、体の中の異物を外に出す働きを担う「P-糖タンパク質」のはたらきも低下しました。

ただし、細胞同士をつなぐ壁のような構造には大きな変化はありませんでした。

市販の清涼飲料に含まれる4-MIの濃度は0.15〜0.75 µg/mL程度で、実験で影響が出た濃度よりもはるかに低いため、通常の飲料を飲む程度では胃や腸の細胞に明らかな悪影響は見られません。

しかし、高濃度や長期間の暴露では細胞の働きが乱れ、DNAや細胞の防御機能に影響を与える可能性があることから、過剰摂取は避けるべきだと考えられます。

論文に対する考察コメント

カラメル色素とは、清涼飲料水やキャラメル、チョコレートといったお菓子に含まれいる添加物です。

カラメル色素の製造過程でできる「4-メチルイミダゾール(4-MI)」は、動物実験で長期間高濃度にさらされると発がんの可能性が指摘されていますが、この実験は、実際に私達の細胞にどのような影響がでるかを調べたものになります。

私たちの体の細胞は、必要に応じて分裂したり、不要になれば自ら死ぬ仕組み(アポトーシス)を持っています。

また、細胞同士が結合して体を守ったり、ポンプのような働きで異物を外に出す働きがあります。そして、これらの細胞の仕組みが壊れると、がんの発生につながる可能性があるそうです。

この研究では、胃や腸の細胞に高濃度の4-MIを短時間あてると細胞の増殖が抑えられ、長時間あて続けると体の中の異物を外に出すポンプのような働きが弱まることがわかりました。

つまり、ガンの発生につながる可能性があるということが判明したそうです。

それでも、現時点では市販の飲料や食品に含まれる4-MIの濃度はごく微量であり、日常的に摂っても健康に大きな影響はないと言うことも判明しています。

不用意に警戒する必要はないのかもしれませんが、さまざまな食品で使用されているカラメル色素。複数の食品から重複して摂ってしまう可能性は気になるところです。

カラメル色素を全くとらない生活というのは難しいかもしれません。では、自分が普段どれだけの添加物を摂っているのか、まずは食品の成分表を見て把握することから始めてみるのはいかがでしょうか。

出来ることなら、喉が乾いた時や小腹が空いた時、何か食べ物を選ぶ時はなるべく添加物が入っていない食品を選べるようになっていたいですね。

亜硝酸ナトリウム(発色剤・保存料)

2023年:大腸がんリスクに関する研究

こちらの研究内容は、2023年10月に発表された亜硝酸ナトリウムに関するものです。

亜硝酸ナトリウムの削減、除去、または置換が、フィッシャー344ラットにおける微生物の増殖、食品の安全性、結腸生態系、および大腸がんの発生に及ぼす塩漬け肉および調理肉への影響(2023)

論文の概要

ハムやソーセージなどの加工肉には、風味や色を保ち、細菌の繁殖を防ぐために「ナトリウム亜硝酸塩」という添加物が使われています。

しかし、体の中でこの物質が化学反応を起こし、「ニトロソ化合物」という発がん性のある物質ができること、特に大腸ガンを引き起こす可能性があることは、多くの先行研究で知られている事実です。

この研究は、その前提を踏まえた上で、このナトリウム亜硝酸塩を『減らす』『取り除く』『植物由来の成分の代替え品を用いる』等を行い、肉の安全性や体への影響がどう変わるかを調べたものになります。

研究ではラットを使い、さまざまな種類の加工肉を食べさせて、腸の状態や発がんの前ぶれとなる変化を調べました。

その結果、ナトリウム亜硝酸塩の量を減らすと、体内でできるニトロソ化合物が減り、大腸がんの前段階の変化も少なくなることがわかりました

ただし、完全に取り除くと、今度は脂肪が酸化しやすくなり、別の形で体に悪い影響が出る可能性も明らかになったそうです。

代替物(野菜ストック、ポリフェノール抽出物、酵母抽出物など)を使う方法を試したところ、一部では発がんのリスクを減らす効果がみられましたが、十分ではなく、それぞれに利点と課題があることが示されました。

この研究から、ナトリウム亜硝酸塩をすべてなくすよりも、できるだけ少なく使い、抗酸化作用のある天然成分などと組み合わせて使う方法 が、より安全な加工肉づくりにつながる可能性が示されました。

論文に対する考察コメント

亜硝酸ナトリウムには次の働きがあります

  • 肉の酸化を防ぐ(酸化防止)
  • 細菌の繁殖を抑える(防腐効果)
  • きれいな赤色を保つ(発色作用)

ハムやベーコンなどの加工食品には必要な働きをもつ添加物になりますが、体の中で発がん性のあるニトロソ化合物をつくる可能性があるのは学術界では前提の知識なのだそうです。

研究では、ナトリウム亜硝酸塩を減らしたり、植物由来の成分に置きかえたりすると、発がんの前ぶれとなる変化が少なくなることが示されていました。

つまり、亜硝酸ナトリウムは「たくさん摂らなければ安全」ではなく、「減らせばそれだけリスクが減る」というものになります。

一方で、完全に添加物をなくすと酸化が進み、脂質が過酸化してしまうという結果も印象的でした。これは亜硝酸ナトリウムの働きの一つである『酸化防止』が働かなかったことで、脂質の過酸化を招き、細胞を傷つけたり、動脈硬化や老化を進めたりする危険性が高まったということです。

ここで重要となるのはポリフェノールやビタミンE、カロテノイドなど、自然の抗酸化物質が多く含まれている植物です。

実際、論文中でも「ポリフェノール抽出物(PRE)」や「野菜ストック(VS)」を使った試験が行われており、ナトリウム亜硝酸塩の悪影響をある程度抑える結果が見られていました。

このため、亜硝酸ナトリウムをむやみに減らすのではなく、その働きを助ける食品(この場合は抗酸化作用のあるもの)と合わせて摂ることを考える方法が望ましいそうです。

このことから、食品添加物を「悪」と決めつけるのではなく、どう使うか・どれくらい摂るか、何と組み合わせるかを意識することもとても重要なのではないでしょうか。

私たちができることは、加工肉などを食べる頻度を減らしたり、原材料表示を見て選んだりすること。

健康的な食生活を保つためには、添加物との「上手な付き合い方」を考える視点が欠かせないと思いました。

リン酸塩

2023年:血管や骨代謝への影響に関する研究

こちらの研究内容は、2023年に発表されたリン酸塩に関するものです。

食品添加物乳化剤と心血管疾患リスク(2023)

論文の概要

この研究は、フランスの約9万人を対象に行われた大規模な追跡調査で、食品に含まれる「乳化剤」と呼ばれる添加物が心臓や血管の病気と関係があるかを調べたものです。

乳化剤は、油と水を混ぜ合わせたり、食品の見た目や食感を安定させたりするために、パンやお菓子、ソース、加工肉など多くの加工食品に使われています。

研究は、食事内容に含まれる乳化剤の量を計算し、平均7年間にわたって、心臓や血管の病気を発症した人の数を追跡したものになります。

結果、過剰摂取により心臓病や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高くなる、いくつかの乳化剤があることがわかりました。

特に注目されたのは、「リン酸塩」と呼ばれる乳化剤の一種です。リン酸塩は、ハムやチーズ、ベーカリー製品などの加工食品によく使われ、食品の色や形を保ち、なめらかにする働きがあります。

しかし、リン酸塩は体に吸収されやすく、摂取後は血液中のリンの濃度が上昇しやすい性質を持っています。

このことが、血管の石灰化(血管がかたくなる)や、血管内でのカルシウムの沈着に繋がり、動脈硬化を進行させる可能性があります。

研究でも、リン塩酸の摂取量が多い人ほど、冠動脈疾患と呼ばれる心臓の血管の病気を起こす危険が高くなる傾向が見られました。

研究者たちは、この結果が直接「リン酸塩が病気を起こす原因である」と断言できるわけではないとしながらも、加工食品に含まれる乳化剤の摂りすぎには注意が必要だと述べています。

日常生活の中では、できるだけ自然に近い食品を選び、加工度の高い食品を控えることが、心臓や血管を守るうえで大切だと考えられます。

論文に対する考察コメント

ハムやチーズ、パンなど、私たちの身近な加工食品には「リン酸塩」という添加物が広く使われています。

食品をなめらかにしたり水分を保ったりする乳化剤のような働きをするほか、酸化や変色を防ぐためのpH調整剤としても使われることが多いそうです。

原材料表記でリン酸塩と書いてあれば、知識のある人なら避けますが、乳化剤の中にリン酸塩が隠されていると言うことを知らない人が多かったと思います。僕も乳化剤だけしか添加物がない加工食品なら「まあいっか」で食べてたけど、チーズやパンの加工食品にある乳化剤はリン酸塩の可能性もあるから、「乳化剤=リン酸塩」だと思って気を付けようと思いました。。

正直、この論文を読むまでは「リン酸塩? なんとなく塩分の一種かな?」くらいの感覚しかありませんでした。

でも実際は、塩分とはまったく別の存在。同じ“塩”という言葉が使われていても、塩分は「血圧」に、リン酸塩は「血管そのもの」に影響するそうです。

さらに、塩分(塩化ナトリウム)は「しょっぱい」と味でわかるので、摂りすぎれば気がつきます。

でもリン酸塩は味がほとんどなく、気がつきようがない所も大きな違いです。

研究では、リン酸塩の一種「トリナトリウムリン酸塩」を多く摂取している人ほど、冠動脈疾患(心臓の血管の病気)のリスクが高くなる傾向があると報告されています。

これは血管の石灰化やカルシウム代謝の乱れによって、動脈硬化が進む可能性があるからだそうです。

添加物の中には、長期的に体へじわじわ負担をかけるものもある。そう思うと、改めて“無添加”のものを生活に取り入れていく意味が深く感じられます。

最近は無添加のパンやドレッシングも増えてきたので、少し高くても、そういう選択をしたいと思うようになりました。手軽さだけに流されず、何を口にするかを自分で選ぶこと――それが、これからの時代の“本当の食の豊かさ”なのかもしれませんね。

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