「黒糖」という食品をご存じでしょうか。
「名前だけは聞いたことがある」
「なんとなく体に良さそう」
そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
黒糖は、サトウキビの搾り汁をそのまま煮詰めて濃縮し、加工せず冷やして固めて作る砂糖です。
参考URL:沖縄県黒砂糖共同組合 沖縄県黒砂糖工業会
今回は、黒糖が体に悪いものなのかどうか探っていきます。
黒糖は白砂糖に比べて健康に良い?
黒糖をよく食べる地域の人たちは長寿と聞いたけど黒糖と関係ある?

黒糖を食べると長生きできるんだよね!

なぜそう思うのかな?

長寿の人が多い沖縄県でよく食べられているからだよ!
沖縄県は「長寿県」として有名でした。
男性の平均寿命は1975年に全国10位、1985年には1位になりました。
また、女性は1975年から2005年まで1位を維持していました。
参考URL:CBC MAGAZINE
ただし、2020年の厚生労働省データによると健康寿命の順位は沖縄男性は43位、女性は16位となっており、長寿県のイメージが薄れています。
沖縄県は日本でも黒糖の生産・消費が多い地域です。
国内黒糖生産量は年間約9,000トンで、そのうち沖縄県産が約8,000トン以上を占めています。
参考URL:農畜産業振興機構
黒糖は「疲れをとる」「栄養がある」として昔から日常的に使われてきました。
実際に黒糖には カルシウム・鉄分・カリウムなどのミネラル が残っており、白砂糖より体にやさしい甘味料なので、「疲れをとる」「栄養がある」実感があったのでしょう。
研究によると、沖縄の長寿の背景は黒糖だけではなく、食生活全体やライフスタイルの影響が大きいとされています。
・野菜・豆類・海藻 をよく食べる
・豚肉 を余すことなく調理(コラーゲン・ビタミンB群が豊富)
・魚介類 を摂取
・適度な運動(畑仕事や踊りなど)
・コミュニティのつながり が強く、精神的ストレスが少ない
黒糖は 精製糖よりは栄養を補える甘味料 で、沖縄の食文化を彩ってきました。
しかし「黒糖=長寿の秘密」と断言できるわけではなく、伝統的な食生活+ライフスタイルの中の一部として黒糖が活きていた、と考えるのが妥当です。

黒糖は長寿の「主役」ではなく「助演」なんだね。
沖縄の人々が黒糖を取り入れつつも、野菜・豆・魚・肉などのバランスよい食事や地域の生活習慣があったからこそ、長寿文化が築かれたといえます。
砂糖は体に悪いと言うけど、黒糖も結局砂糖だから健康のために毎日摂取しないほうがいい?

黒糖って砂糖なんだよね。
毎日食べても大丈夫なの?
冒頭でもお伝えした通り、黒糖はサトウキビの搾り汁をそのまま煮詰めて濃縮し、加工せず冷やして固めて作る砂糖です。
砂糖の一種なので、エネルギー源は白砂糖と同じ「ショ糖(スクロース)」です。
では、黒糖と白砂糖はどのような違いがあるのでしょうか。
項目 | 黒糖 | 白砂糖 |
製造方法 | サトウキビの絞り汁を そのまま煮詰めて作る(含蜜糖) |
サトウキビやてん菜の絞り汁から 糖蜜を分離し、ショ糖だけを結晶化(分蜜糖) |
見た目 | 濃い茶色〜黒色 | 真っ白 |
主成分 | ショ糖75〜86% | ショ糖約97% |
ミネラル含有量 | カルシウム(100g中約240mg)、 カリウム、鉄分など多い |
カルシウム1mg程度と非常に少ない (100g中) |
ビタミン | ビタミンB群(B1、B2、B6)含む | ほとんど含まれない |
カロリー | 約354キロカロリー/100g | 約384キロカロリー/100g |
甘さの特徴 | コクがあり濃厚な甘み | クセがなくすっきりした甘さ |
用途 | 独特の風味を生かしたお菓子、 煮物、料理のコク付けなど |
幅広い料理、飲み物やお菓子作りに使用 |
黒糖は製造過程で糖蜜を含むため、ミネラルやビタミンが豊富でコクと風味が強いのが特徴です。
一方、白砂糖はショ糖の純度が高く、クセのない甘さで料理や飲み物に幅広く使われます。
摂りすぎれば白砂糖と同じリスク(肥満・糖尿病・虫歯など) を招きます。
GI値(血糖値を上げやすさ)も高めで、糖尿病や生活習慣病のリスクになります。
「栄養があるから健康にいい」と誤解して毎日大量に食べるのは危険です。

黒糖は白砂糖より体にやさしい甘味料だけど、砂糖は砂糖 だから「健康のために毎日摂取する食品」ではないんだね!
黒砂糖と黒糖って同じもの?

この商品には「黒砂糖」、こっちの商品には「黒糖」って書いてあるよ。
違うものなのかな・・・?
商品によっては「黒砂糖」「黒糖」などの表記があり、混乱しそうです。
基本的には 「黒砂糖」=「黒糖」 を指します。
消費者庁の食品表示に関するQ&Aでも、2024年現在「黒糖」と「黒砂糖」は同義として明文化されています。
参考URL:消費者庁 食品基準Q&A
・黒砂糖(くろざとう) ・黒糖(こくとう/くろとう) |
つまり、どちらも サトウキビのしぼり汁をそのまま煮詰めて固めた砂糖 のことです。
ただし、注意点があります。
市場には「黒っぽい砂糖」がいくつかあり、黒砂糖(黒糖)とは別物のことがあります。
・黒砂糖/黒糖
→ 沖縄や奄美産が有名。サトウキビ100%、ミネラル豊富。
・加工黒糖
→ 白砂糖や糖蜜にカラメルを加えて黒くしたもの。
→ 本物の黒糖より安いが、ミネラルは少ない。
・三温糖
→ 白砂糖を何度も加熱して作る茶色い砂糖。黒糖とは違い、ミネラルは少なめ。

「黒砂糖」と「黒糖」は同じものを指しているんだね。

ただし、「黒い砂糖=黒糖」とは限らないので、 原材料表示を見て“さとうきび100%”と書かれた黒糖を選ぶ のがおすすめだよ。
黒糖なら血糖値スパイクを防げる?
食事やおやつの後に血糖値が急激に上がり、その後急降下する「血糖値スパイク」。
肥満やメタボにつながりやすいだけでなく、心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病・認知症など多くの重大疾患のリスクを高める上、体に隠れたダメージを蓄積させていくため非常に危険なものです。
黒糖の主成分は ショ糖(スクロース) で、白砂糖とほぼ同じです。
GI値(血糖値が上がりやすいかを示す数値)は、
白砂糖:およそ 110前後
黒糖:およそ 99〜100前後
→ 差はあるものの、いずれも「高GI食品」です。
つまり、黒糖には血糖値の急上昇を抑えるほど強力な効果はないのです。
ただし、黒糖はショ糖を主成分としながらも、ミネラルやビタミンB群、抗酸化成分が含まれており、これらが血糖値の上昇を緩やかにしたり、中性脂肪やコレステロールの低下に寄与することが示唆されています。
また、黒糖に含まれるアミノ酸やポリフェノールが血糖値抑制に役立つとも報告されています。

血糖値スパイクを防げるわけではないけれど、黒糖は白砂糖よりも健康に効果的なんだね!
加工黒糖って添加物入ってる?やめたほうがいい?
「黒糖」と「加工黒糖」は似ていますが、中身はかなり違います。
黒糖(純黒糖)
・サトウキビの 絞り汁をそのまま煮詰めて固めたもの
・沖縄などで作られる伝統的な砂糖
・ミネラル(カルシウム・カリウム・鉄など)が豊富
・添加物は基本的に なし
加工黒糖
・黒糖に 白砂糖や糖蜜、場合によっては水あめ を加えて成型したもの
・「黒糖風味の砂糖」というイメージ
・ミネラルはある程度含まれるが、純黒糖より少なめ
・製品によっては カラメル色素 や 香料 が入ることも
加工黒糖には純粋な黒糖(サトウキビの汁を煮詰めただけのもの)に粗糖や糖蜜を混ぜて作られるものがあり、製品によっては添加物が含まれている場合もあります。
以下、選ぶときの注意点をまとめました。
・「加工黒糖」と表示されているものは、純黒糖ではない と考える ・成分表示に「原料糖(白砂糖)、糖蜜、黒糖」などが書かれていたら、それはミックス品 ・「純黒糖」「黒糖(沖縄産100%)」と明記されているものを選ぶと安心 |
「安い黒糖風の味が楽しめればいい」なら加工黒糖でも問題なしですが、健康目的(ミネラル補給や血糖値対策)の人は 純黒糖を選ぶとよいでしょう。
ただし、「体に良いと思って加工黒糖を食べ続ける」のは少しズレてしまうかもしれません。

添加物が入っている加工黒糖もあるので、成分表示をチェック!
健康のためなら 純黒糖を選ぶのがおすすめだよ。
おすすめの黒糖
【富澤商店】八重山本黒糖
商品の特徴
- 沖縄・八重山地方産の純黒糖
- 精製されておらず、きび由来のミネラルがそのまま含まれるのが特長
- 自然な風味を楽しみたい方に最適
- 内容量 200g、価格は↓のAmazonからご確認下さい
【健友交易】 有機黒糖(粉)
商品の特徴
- 有機JAS認定のペルー産さとうきびを使用
- 石灰などの加工助剤を一切使わずに丁寧に製造された粉末黒糖
- 雑味がなくまろやかな甘みが特徴で、コーヒーや紅茶、煮物やお菓子作りなど幅広い用途に適する
- 内容量 500g、価格は↓のAmazonからご確認下さい
黒糖を使ったおすすめの無添加お菓子
【南出製粉所】国産米粉クッキー(黒糖くるみ)
商品の特徴
- 国産米粉ベースのクッキーに、黒糖の自然な甘みとくるみの香ばしさが加わった一品
- グルテンフリーで、米粉を使ったやわらか食感
- 黒糖の甘さとくるみの食感が合わさることで、安心して食べられる健康的な選択肢
- 自然素材重視の方に特におすすめ
- 内容量 8個、価格は↓からご確認下さい
【クロボー製菓】 黒棒名門
商品の特徴
- 小麦粉はすべて九州産。地元素材へのこだわりが、素朴で優しい食感を生み出す
- 黒糖蜜は職人が1本ずつ手作業でからめるため、外はザクザク、中はしっとりとした食感が絶妙
- 原材料は「黒砂糖(含蜜糖)、九州産小麦粉、卵、水あめ、膨張剤」のみ。余計な添加物を使わず、素材の味わいが際立つ仕上がり
- 大正9年創業という伝統ある製造歴により、日本全国の駄菓子ファン、子育て世代にも根強い人気
- 内容量 10本、価格は↓のAmazonからご確認下さい